★12月 雉「関西句会」244回
令和5(2023)年12月24日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎夕鴉声落し行く枯野かな 田子正流
◎吉野路の番茶仕立や冬至粥 田子正流
十二月八日開戦レノンの忌 田子カンナ
ふとにほふ薬草の香のセロリ食ぶ 土屋明子
ふるさとは如何に北より風花す 原 万代
鮟鱇の吊られ切らるる重さかな 新谷亜紀
仕舞風呂柚子を浮かべて目を閉づる 井上基子
小鳥来てことに一木にぎはへり 中野はつえ
ことこととシチューを煮込む冬の夜 田子正流
急流を鴨一つ飛びに越えにけり 原 万代
足もとのふらつく幼着ぶくれて 井上基子
川べりに住みて親しき鴨の声 中野はつえ
葉を落とし裾の明るき雑木山 原 万代
雨戸繰るそこにひとひら散紅葉 土屋明子
廊ゆけば蔵書の匂ふ冬館 新谷亜紀
裸木となりて威厳の瘤あまた 中野はつえ
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室1
日 時:令和6(2024)年4月28日(日)午後1時半〜
嵯峨のお松明 (京都市右京区 清涼寺)
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★12月「大津・本丸句会」(第135回)
2023(令和5)年12月19日(火)
☆ 田島和生主宰 後日選 (◎印 特選)
◎月光や裸木越しに瀬田の橋 山田流水
◎眼前に樺太見ゆる小春風 小林佳月
◎時雨るるや湖北の空の雲厚き 小林佳月
観音の手に薬壺冬麗 阪本節子
白雲を抜けヘリコプター冬の晴 熊村あけみ
グランドへ弾むペダルや息白し 井上美恵子
薄日差し木の葉時雨の一頻り 一村葵生
寺域より昇る白煙夕焚火 三雲宏一
行く車数珠生りとなり年の暮 三雲宏一
茶の花や近江なまりの老和尚 向平まゆみ
陽の中に光る芒の巻き穂かな 一村葵生
北風や知らぬ同士の露天風呂 山田流水
悴みて悩むてにをは五七五 小林佳月
コンビニの無き地に暮らし日向ぼこ 松岡和子
霜の夜出展に書く墨匂ふ 青木陽子
映りたる冬空深き潦(にはたずみ) 一村葵生
単身の父より文やクリスマス 前田かよ子
生垣の何か啄む冬の鳥 熊村あけみ
橋脚の朽ちしままなり川涸るる 青木陽子
素振りして帽子飛ばせる小春かな 一村葵生
金次郎像へひとひら枯葉舞ふ 松岡和子
三歳は三歳の音落葉踏む 青木陽子
松ヶ崎疏水(京都市左京区)【撮影:北嶋八重さん】
]]>★11月「大津・本丸句会」(第134回)
2023(令和5)年11月28日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎金剛神四肢隆々と冬の雷 熊村あけみ
◎霜月の雷打ちひびき法隆寺 向平まゆみ
◎冬麗や顔(かんばせ)長き飛鳥仏 松岡和子
日矢に舞ふいぶし銀めく朴落葉 向平まゆみ
溜息の思はず漏れて照紅葉 一村葵生
青天や鴟尾高々と寒日和 青木陽子
寒鯉の日向に背鰭黒々と 阪本節子
冬晴や足場軽々鳶頭 阪本節子
菰巻の松の傾ぎや井伊の城 小林佳月
冬青空礫のごとく鳥の群 熊村あけみ
堀川の奥へ小舟や散紅葉 一村葵生
小春日の玩具転がり母の膝 前田かよ子
酢茎売る親爺饒舌山の寺 向平まゆみ
観音の伏し目にしぐれ法隆寺 青木陽子
時雨忌の唐崎の松けぶりをり 熊村あけみ
奥山の絶えぬ瀬音や散紅葉 山田流水
摩崖仏蔽ふ紅葉や鄙の寺 向平まゆみ
小夜しぐれ灯り潤みてねねの道 向平まゆみ
そのひとをそつと色なき風に呼ぶ 一村葵生
居酒屋の酔ひ醒め一品柿なます 前田かよ子
雲掠め風を捉へて鷹舞へり 阪本節子
川並木臙脂輝く照葉かな 三雲宏一
間を置きて鳴る冬の雷法隆寺 小林佳月
秋仕舞ひのろしのごとく煙上げ 一村葵生
★ 大津市本丸句会のご案内
3月26日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
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★11月 雉「関西句会」243回
令和5(2023)年11月26日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎門灯は人待つ明り夕時雨 田子正流
◎落葉してますます高き銀杏かな 田子正流
◎城壁に雨後の日差しや返り花 新谷亜紀
次々と鰡とぶ播磨凪ぎわたり 原 万代
朝日子へふくら雀の胸揃へ 徳永絢子
十能で掻く側溝の濡れ落葉 徳永絢子
朝ぼらけじつとしてゐる濠の鴨 土屋明子
一杯の白湯の甘さや今朝の冬 中野はつえ
山並にあまねき日差し小春かな 田子正流
大師像拝す落葉を手で払ひ 徳永絢子
潮風を背に牡蠣割る男かな 新谷亜紀
そこここに実生の石蕗の花盛り 徳永絢子
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和6(2024)年2月25日(日)午後1時半〜
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★10月 雉「関西句会」242回
令和5(2023)年10月22日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎降り立てば秋の声聞く無人駅 田子正流
◎秋闌けて色の褪せたる五色幕 田子カンナ
◎流れつつほどける雲や野分あと 中野はつえ
をちこちに聞こゆる声や虫すだく 土屋明子
路地裏の祠の奥に虫すだく 田子正流
戻り来て猫もくしやみをしてゐたり 徳永絢子
古民家や金木犀の香り満つ 井上基子
秋風に吹かるる蝶の骸かな 徳永絢子
枝揺れてはらりと一つ芙蓉散り 土屋明子
山頂の萩のこぼるる風の中 中野はつえ
呼ぶ声の遠くに響く秋夕べ 田子正流
一揆の碑囲む稲穂の色ゆたか 中野はつえ
団栗の青きままなり転がれり 井上基子
つくばひへ弾けて転び椿の実 徳永絢子
参道の奥ほの暗き暮秋かな 新谷亜紀
薄ら日や翅重たげに秋の蝶 中野はつえ
四阿を風の渡れば荻のこゑ 新谷亜紀
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和6(2024)年2月25日(日)午後1時半〜
東寺 南大門(京都市南区)【撮影:北嶋八重さん】
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★10月「大津・本丸句会」(第133回)
2023(令和5)年10月24日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎干しいちじく売る千年の石畳 松岡和子
◎熊除けの鐘うち鳴らす紅葉谷 小林佳月
◎酔眼に滲む小倉の後の月 西村千鶴子
炎(ほむら)なる荒田の畦や曼珠沙華 西村千鶴子
さらさらと澄みし流れや暮れの秋 山田流水
小さき手でとことん掘りし甘藷 小林佳月
日溜りをたおやかに舞ひ秋の蝶 向平まゆみ
大波のやうな白雲秋寂びぬ 一村葵生
くちばしに表情尖る秋刀魚かな 中村良一
朝寒や背(そびら)まるめて急ぐ人 阪本節子
身に入むや戦地の子らの虚ろな目 井上美恵子
ことごとく刈田となりて暮れにけり 中村良一
弘法市踏まれ潰され銀杏の実 向平まゆみ
とんぼうの風の中から湧き出て来 中村良一
秋の蝶日向拾ひつひるがへり 阪本節子
風誘ふ芒の原の薄暮かな 山田流水
月明を連れ立ち戻る通夜の客 西村千鶴子
秋灯や大聖堂の懺悔室 松岡和子
本広げ無為の一日や秋の雲 井上美恵子
漂泊の果ての栖(すみか)や虫すだく 西村千鶴子
秋雨や午後のコーヒーアメリカン 前田かよ子
秋日和とりどりの蝶庭に舞ふ 小林佳月
愛読書語り合ふ子ら星月夜 熊村あけみ
ユーターン代替りして晩稲(おくて)刈り 青木陽子
マンションの隣る本陣残る虫 青木陽子
沈む日の色に輝く鰯雲 阪本節子
疲れしも妻の笑顔や秋夕焼け 山田流水
周防灘月夜の浜辺てふ新酒 小林佳月
★ 大津市本丸句会のご案内
2月27日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
干支の大絵馬 (下鴨神社 細殿御所) 【撮影:北嶋八重さん】
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★9月「大津・本丸句会」(第132回)
2023(令和5)年9月26日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎秋うららちぎれる程に小犬の尾 熊村あけみ
◎高原の小径は霧に濃竜胆 井上美恵子
◎廃城の土塁の跡や秋の声 西村千鶴子
鮭のぼる由良川の瀬の滔滔と 西村千鶴子
敬老日百歳の手のやはらかし 松岡和子
いち早く虫の音を聴く幼かな 一村葵生
恋しぐれてふ朝顔の小さき実よ 向平まゆみ
ブレスレット外しひとりの宵の月 前田かよ子
奔放に枝の撓みて実むらさき 向平まゆみ
奥入瀬の白き流れや秋気澄む 井上美恵子
ほろほろと触れば零れ式部の実 小林佳月
秋天やねぐらへ帰る鳥の群 阪本節子
秋蝶やひとり降り立つ余呉の駅 山田流水
初秋の夜の深沈と寺門の灯 西村千鶴子
まろまろと光蔵して芋の露 中村良一
今生をひらりひらひら秋の蝶 山田流水
かがみ込むほどのさびしさ秋の水 一村葵生
蜻蛉や止まる葉先の水明り 阪本節子
秋色や川に迫り出す山の宿 山田流水
コンサート果てて湖畔の秋夕焼 小林佳月
秋蚕の小屋匂ひ立つ祖母の家 青木陽子
新米を竈で炊ける屋敷神 松岡和子
朝まだき闇に真白の花茗荷 小林佳月
源光庵(京都市北区)
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★ 9月 雉「関西句会」241回
令和5(2023)年9月24日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎足垂れて花野を渡るリフトかな 井浪千明
◎曼珠沙華荒るる棚田の畦巡り 徳永絢子
◎鳴き合うて霧の中より朝鴉 徳永絢子
猫の耳見え隠れして草の花 新谷亜紀
雨の香の残つてゐたる花野かな 井浪千明
曇天の遠に聞こゆる秋の雷 土屋明子
かまきりの鎌持ち上げて向き合へり 井上基子
山路来て吉野棚田の曼珠沙華 田子正流
ベランダに物干しをれば鹿の声 徳永絢子
月明り漣となる屋根瓦 田子正流
灯台の白鮮やかに爽やかに 井浪千明
白萩や水子地蔵のひとつ増え 原 万代
吉野路に訪ふ古刹彼岸花 田子正流
土いぢり肩にとんぼの翅の音 徳永絢子
藷蔓の絡まるままに売られをり 新谷亜紀
乗り越して戻る一駅星月夜 田子カンナ
ついてきてつと遠ざかる蜻蛉かな 土屋明子
ひそめども声は響けりちちろ虫 土屋明子
★ 次回「関西句会」のご案内
日 時:令和6(2024)年1月28日(日)午後1時半〜
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室1
歌舞伎の創始者 出雲の阿国の像(京都市東山区)
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★8月「大津・本丸句会」(第131回)
2023(令和5)年8月22日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎船渡御を待つ唐橋の人いきれ 向平まゆみ
◎新盆を仕舞ひし夜の茶漬かな 青木陽子
◎蜩や献燈の焔の立ち揺らぎ 西村千鶴子
蜩の包む参道早やも暮れ 向平まゆみ
遠くより寂び踊唄漁師宿 松岡和子
蜩の声に沈める天守跡 一村葵生
仰向けの蝉へと蟻の急ぎ足 小林佳月
蜩に開け放ち木の玩具館 松岡和子
庭下駄の鼻緒のしめり今朝の秋 熊村あけみ
黙祷の額を伝ふ汗しづく 青木陽子
耳元へ羽音のかすか夜の秋 井上美恵子
更くる夜の小窓に覗く盆の月 阪本節子
秋扇の残り香よぎる京都駅 小林佳月
老人の指より滑り白き桃 一村葵生
ビワイチの駆け行く速さ夏の風 井上美恵子
昃(ひかげ)れば満つるひぐらし峡の空 熊村あけみ
一陣の風に流され秋あかね 熊村あけみ
墓洗ふ混じる児の手に湖の風 青木陽子
外つ国の若き尼僧や堂涼し 松岡和子
油照り水面盛り上げ鯉の影 一村葵生
かりぽりと冷し胡瓜のリズムかな 井上美恵子
錆猫の腹見せてねる秋暑かな 西村千鶴子
影深き楠の大樹や長崎忌 熊村あけみ
撫子を愛でて一息伊吹山 向平まゆみ
手の甲の腫るる青筋劫暑かな 三雲宏一
ふくらみて落つる点滴遠花火 青木陽子
声援のボート寄り添ひ遠泳す 前田かよ子
再読の句集「広島」八月尽 小林佳月
★ 大津市本丸句会のご案内
12月19日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
人麻呂歌碑(城陽市)
]]>★ 8月 雉「関西句会」240回
令和5(2023)年8月27日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎踊り唄暗き川面をこえてきし 井浪千明
◎世阿弥忌の佐渡の夕波黄金なる 新谷亜紀
◎盆過ぎの風ゆき渡る仏間かな 新谷亜紀
短冊と軸を掛け替へ今朝の秋 田子正流
花苔は群るるままなり鑑真廟 小谷廣子
ひるがへるしろがねの波初嵐 小谷廣子
水遣りて仰ぐ朝空秋燕 徳永絢子
初秋の磯波の音聞くばかり 原 万代
刈り込みし生垣匂ふ良夜かな 中野はつえ
処暑の海刻々色を変へにけり 原 万代
石伐りし白き山肌花すすき 井浪千明
川風に髪を靡かせ大文字 新谷亜紀
伐り残る一樹が蝉の鳴き処 中野はつえ
端渓に墨磨りをれば鉦叩 田子カンナ
小さき靴土間に散らばり盆休み 新谷亜紀
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和5(2023)年12月24日(日)午後1時半〜
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★7月「大津・本丸句会」(第130回)
2023(令和5)年7月25日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎雲映る水面を走り遊び舟 熊村あけみ
◎炎天をゆらゆらと行く己が影 井上美恵子
◎廃校の校歌の山の滴れり 松岡和子
つながりて一灯づつの夜店の灯 青木陽子
木洩れ日の丸テーブルや氷菓溶け 一村葵生
なで肩の少女に着せる初浴衣 向平まゆみ
明易や始発の駅の屋台蕎麦 熊村あけみ
ラストワン子らのかけ声走る夏 前田かよ子
居眠りて手の動き止む団扇かな 青木陽子
山門や小雨に淡き合歓の花 山田流水
生業に疲れたる日の髪洗ふ 青木陽子
朝練の太き掛け声夏の雲 井上美恵子
芳しきかをり豊かに青田風 向平まゆみ
梅雨明や茶棚に光る江戸切子 青木陽子
ありなしの風におはぐろ蔓の先 向平まゆみ
明けやらぬ網戸に蝉の張り付きぬ 井上美恵子
朝焼けや出船の水尾の広ごりぬ 小林佳月
帰省子の小声で話す変声期 西村千鶴子
★ 大津市本丸句会のご案内
11月28日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
般若寺(奈良県奈良市)【撮影:田子正流さん】
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★ 7月 雉「関西句会」239回
令和5(2023)年7月23日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎灼けゐたる霊岩撫でて一願す 中野はつえ
◎虫送り一本松で折返す 小谷廣子
◎青淵へ吹きとぶ水泡(みなわ)合歓の花 小谷廣子
サンドレスふはり降り立ち無人駅 新谷亜紀
無精髭生やし加はる溝浚へ 中岡ながれ
裏参道大きほおずき色づけり 井上基子
玉垣の一基一基に苔の花 中野はつえ
浅井氏の滅びし地とや青田波 新谷亜紀
観世音おはす小暗き堂涼し 新谷亜紀
手水舎の水音涼し龍の口 田子カンナ
屈曲のまま微動せぬ守宮かな 新谷亜紀
七夕や願ひをこめる幼の字 井上基子
猫寝まる涼しき風の通り道 徳永絢子
酢に咽せて一気にすする心太 田子正流
走り咲く夏萩打ちて山の雨 徳永絢子
大木の影を陣取り氷菓売る 中野はつえ
羽蟻出で寡黙の夕餉騒がせり 中野はつえ
まつ白に家紋浮かせて墓洗ふ 井浪千明
枝先に行方を探る蝸牛 田子正流
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和5(2023)年11月26日(日)午後1時半〜
天龍寺「曹源池庭園」(京都市右京区)【撮影:北嶋八重さん】
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★6月「大津・本丸句会」(第129回)
2023(令和5)年6月27日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎山背より吹き下ろす風青田波 西村千鶴子
◎林中は暮れ方の風青葉木菟 西村千鶴子
◎炎天に色失へる炎かな 一村葵生
◎十一や深山隠れの廃寺跡 西村千鶴子
◎鴨川の澄める流れや藍浴衣 山田流水
熊笹の剣(つるぎ)山頂青嵐 松岡和子
日雀(ひがら)の子工事現場で水浴びす 三雲宏一
さびしさの極みや真夜の時鳥 一村葵生
おはじきのひとり遊びや梅雨の宿 前田かよ子
裏庭の風を馳走に夏座敷 熊村あけみ
白壁の塗屋造りや露涼し 西村千鶴子
紫陽花や女子高生のたむろして 一村葵生
取り付いて花と揺れゐる夏の虻 熊村あけみ
梅雨さなか釣糸垂るる黒合羽 小林佳月
はじめての空を旋回燕の子 小林佳月
夏霧の動き初めたる段畑 松岡和子
見え隠れして竹藪に夏の月 山田流水
三か月待てずに梅酒飲み減らし 前田かよ子
梅拾ふ背へこつんと実梅落つ 小林佳月
青空のリフト横切り揚羽蝶 青木陽子
清流や瑠璃の器に夏料理 井上美恵子
挨拶を交はすベランダ梅雨晴間 向平まゆみ
古びたる葭簀を抜ける浜の風 井上美恵子
祥月のたどる小径や花茨 熊村あけみ
木簡の出でし阜や夏燕 青木陽子
白杖の手を引く少女山桜梅 松岡和子
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★ 6月 雉「関西句会」238回
令和5(2023)年6月25日(日)
☆田島和生主宰 後日選(◎は特選)
◎青梅雨の木仏にほふ古刹かな 小谷廣子
◎早咲きの茄子に徒花ありしかな 中野はつえ
◎闇を抜け次の闇へと蛍かな 田子正流
枝先に行方を探る蝸牛 田子正流
突堤の風を孕んでアロハシャツ 新谷亜紀
風に揺れ雨に輝き濃紫陽花 井上基子
霊山の裾廻はなやぎ杜若 中野はつえ
降りさうで降らぬ一日梅雨の空 土屋明子
草の秀の蛍火映ゆる流れかな 徳永絢子
橋普請済みし夕べや河鹿笛 新谷亜紀
四脚門手擦れ柱へ糸とんぼ 田子カンナ
沙羅の花明日咲くつぼみ膨れけり 原 万代
昼暗き神域巡る今年竹 原 万代
つくばひに日の斑の揺るる梅雨晴間 中野はつえ
下校児の見せて笑顔や梅雨夕焼 徳永絢子
梅雨寒や梁に吊らるる竹人形 新谷亜紀
飛石の間に咲けり夏薊 井上基子
梅雨寒やからすの親子鳴いてをり 井上基子
血圧計食卓に据ゑ梅雨ごもり 中野はつえ
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室
日 時:令和5(2023)年10月22日(日)午後1時半〜
法起寺三重塔(奈良県斑鳩町)【撮影:田子正流さん】
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★ 5月 雉「関西句会」237回
令和5(2023)年5月28日(日)
☆田島和生主宰 選(◎は特選)
献氷祭
◎艶やかにむらさきにじみ花氷 小谷廣子
◎倒れ木の鬚根をつたひ滴れり 中野はつえ
◎木の瘤の仏とまがふ木下闇 中野はつえ
◎たたら跡雨にけぶりて九輪草 原 万代
◎夏みかん啜り眩しき汀かな 新谷亜紀
葉桜の隙間より見ゆ青き空 井上基子
田の隅になほ青々と余り苗 新谷亜紀
鶯の声調ふや明石城 原 万代
病む夫の頬杖かしぎ夕薄暑 新谷亜紀
門を出て仰ぐ青空若葉風 田子正流
草むしる上を鴉の羽音かな 徳永絢子
風入れて月見櫓の吹き流し 田子カンナ
子燕の飛翔や低き雲へ鳴き 徳永絢子
濃く淡く白壁に映ゆ新樹かな 井上基子
濃く淡く豌豆の花赤みさす 土屋明子
我が腕を抜け出づる子やさるすべり 新谷亜紀
句碑開き晴れ着を濡らす緑雨かな 原 万代
葉桜や亡びし城の角櫓 小谷廣子
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 4号室
日 時:令和5(2023)年 9月24日(日)午後1時半〜
鳥居形の火と渡月橋 (京都市右京区)
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