★12月 雉「関西句会」244回
令和5(2023)年12月24日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎夕鴉声落し行く枯野かな 田子正流
◎吉野路の番茶仕立や冬至粥 田子正流
十二月八日開戦レノンの忌 田子カンナ
ふとにほふ薬草の香のセロリ食ぶ 土屋明子
ふるさとは如何に北より風花す 原 万代
鮟鱇の吊られ切らるる重さかな 新谷亜紀
仕舞風呂柚子を浮かべて目を閉づる 井上基子
小鳥来てことに一木にぎはへり 中野はつえ
ことこととシチューを煮込む冬の夜 田子正流
急流を鴨一つ飛びに越えにけり 原 万代
足もとのふらつく幼着ぶくれて 井上基子
川べりに住みて親しき鴨の声 中野はつえ
葉を落とし裾の明るき雑木山 原 万代
雨戸繰るそこにひとひら散紅葉 土屋明子
廊ゆけば蔵書の匂ふ冬館 新谷亜紀
裸木となりて威厳の瘤あまた 中野はつえ
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室1
日 時:令和6(2024)年4月28日(日)午後1時半〜
嵯峨のお松明 (京都市右京区 清涼寺)
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★12月「大津・本丸句会」(第135回)
2023(令和5)年12月19日(火)
☆ 田島和生主宰 後日選 (◎印 特選)
◎月光や裸木越しに瀬田の橋 山田流水
◎眼前に樺太見ゆる小春風 小林佳月
◎時雨るるや湖北の空の雲厚き 小林佳月
観音の手に薬壺冬麗 阪本節子
白雲を抜けヘリコプター冬の晴 熊村あけみ
グランドへ弾むペダルや息白し 井上美恵子
薄日差し木の葉時雨の一頻り 一村葵生
寺域より昇る白煙夕焚火 三雲宏一
行く車数珠生りとなり年の暮 三雲宏一
茶の花や近江なまりの老和尚 向平まゆみ
陽の中に光る芒の巻き穂かな 一村葵生
北風や知らぬ同士の露天風呂 山田流水
悴みて悩むてにをは五七五 小林佳月
コンビニの無き地に暮らし日向ぼこ 松岡和子
霜の夜出展に書く墨匂ふ 青木陽子
映りたる冬空深き潦(にはたずみ) 一村葵生
単身の父より文やクリスマス 前田かよ子
生垣の何か啄む冬の鳥 熊村あけみ
橋脚の朽ちしままなり川涸るる 青木陽子
素振りして帽子飛ばせる小春かな 一村葵生
金次郎像へひとひら枯葉舞ふ 松岡和子
三歳は三歳の音落葉踏む 青木陽子
松ヶ崎疏水(京都市左京区)【撮影:北嶋八重さん】
]]>★11月「大津・本丸句会」(第134回)
2023(令和5)年11月28日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎金剛神四肢隆々と冬の雷 熊村あけみ
◎霜月の雷打ちひびき法隆寺 向平まゆみ
◎冬麗や顔(かんばせ)長き飛鳥仏 松岡和子
日矢に舞ふいぶし銀めく朴落葉 向平まゆみ
溜息の思はず漏れて照紅葉 一村葵生
青天や鴟尾高々と寒日和 青木陽子
寒鯉の日向に背鰭黒々と 阪本節子
冬晴や足場軽々鳶頭 阪本節子
菰巻の松の傾ぎや井伊の城 小林佳月
冬青空礫のごとく鳥の群 熊村あけみ
堀川の奥へ小舟や散紅葉 一村葵生
小春日の玩具転がり母の膝 前田かよ子
酢茎売る親爺饒舌山の寺 向平まゆみ
観音の伏し目にしぐれ法隆寺 青木陽子
時雨忌の唐崎の松けぶりをり 熊村あけみ
奥山の絶えぬ瀬音や散紅葉 山田流水
摩崖仏蔽ふ紅葉や鄙の寺 向平まゆみ
小夜しぐれ灯り潤みてねねの道 向平まゆみ
そのひとをそつと色なき風に呼ぶ 一村葵生
居酒屋の酔ひ醒め一品柿なます 前田かよ子
雲掠め風を捉へて鷹舞へり 阪本節子
川並木臙脂輝く照葉かな 三雲宏一
間を置きて鳴る冬の雷法隆寺 小林佳月
秋仕舞ひのろしのごとく煙上げ 一村葵生
★ 大津市本丸句会のご案内
3月26日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
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★11月 雉「関西句会」243回
令和5(2023)年11月26日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎門灯は人待つ明り夕時雨 田子正流
◎落葉してますます高き銀杏かな 田子正流
◎城壁に雨後の日差しや返り花 新谷亜紀
次々と鰡とぶ播磨凪ぎわたり 原 万代
朝日子へふくら雀の胸揃へ 徳永絢子
十能で掻く側溝の濡れ落葉 徳永絢子
朝ぼらけじつとしてゐる濠の鴨 土屋明子
一杯の白湯の甘さや今朝の冬 中野はつえ
山並にあまねき日差し小春かな 田子正流
大師像拝す落葉を手で払ひ 徳永絢子
潮風を背に牡蠣割る男かな 新谷亜紀
そこここに実生の石蕗の花盛り 徳永絢子
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和6(2024)年2月25日(日)午後1時半〜
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★10月 雉「関西句会」242回
令和5(2023)年10月22日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎降り立てば秋の声聞く無人駅 田子正流
◎秋闌けて色の褪せたる五色幕 田子カンナ
◎流れつつほどける雲や野分あと 中野はつえ
をちこちに聞こゆる声や虫すだく 土屋明子
路地裏の祠の奥に虫すだく 田子正流
戻り来て猫もくしやみをしてゐたり 徳永絢子
古民家や金木犀の香り満つ 井上基子
秋風に吹かるる蝶の骸かな 徳永絢子
枝揺れてはらりと一つ芙蓉散り 土屋明子
山頂の萩のこぼるる風の中 中野はつえ
呼ぶ声の遠くに響く秋夕べ 田子正流
一揆の碑囲む稲穂の色ゆたか 中野はつえ
団栗の青きままなり転がれり 井上基子
つくばひへ弾けて転び椿の実 徳永絢子
参道の奥ほの暗き暮秋かな 新谷亜紀
薄ら日や翅重たげに秋の蝶 中野はつえ
四阿を風の渡れば荻のこゑ 新谷亜紀
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和6(2024)年2月25日(日)午後1時半〜
東寺 南大門(京都市南区)【撮影:北嶋八重さん】
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★10月「大津・本丸句会」(第133回)
2023(令和5)年10月24日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎干しいちじく売る千年の石畳 松岡和子
◎熊除けの鐘うち鳴らす紅葉谷 小林佳月
◎酔眼に滲む小倉の後の月 西村千鶴子
炎(ほむら)なる荒田の畦や曼珠沙華 西村千鶴子
さらさらと澄みし流れや暮れの秋 山田流水
小さき手でとことん掘りし甘藷 小林佳月
日溜りをたおやかに舞ひ秋の蝶 向平まゆみ
大波のやうな白雲秋寂びぬ 一村葵生
くちばしに表情尖る秋刀魚かな 中村良一
朝寒や背(そびら)まるめて急ぐ人 阪本節子
身に入むや戦地の子らの虚ろな目 井上美恵子
ことごとく刈田となりて暮れにけり 中村良一
弘法市踏まれ潰され銀杏の実 向平まゆみ
とんぼうの風の中から湧き出て来 中村良一
秋の蝶日向拾ひつひるがへり 阪本節子
風誘ふ芒の原の薄暮かな 山田流水
月明を連れ立ち戻る通夜の客 西村千鶴子
秋灯や大聖堂の懺悔室 松岡和子
本広げ無為の一日や秋の雲 井上美恵子
漂泊の果ての栖(すみか)や虫すだく 西村千鶴子
秋雨や午後のコーヒーアメリカン 前田かよ子
秋日和とりどりの蝶庭に舞ふ 小林佳月
愛読書語り合ふ子ら星月夜 熊村あけみ
ユーターン代替りして晩稲(おくて)刈り 青木陽子
マンションの隣る本陣残る虫 青木陽子
沈む日の色に輝く鰯雲 阪本節子
疲れしも妻の笑顔や秋夕焼け 山田流水
周防灘月夜の浜辺てふ新酒 小林佳月
★ 大津市本丸句会のご案内
2月27日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
干支の大絵馬 (下鴨神社 細殿御所) 【撮影:北嶋八重さん】
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★9月「大津・本丸句会」(第132回)
2023(令和5)年9月26日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎秋うららちぎれる程に小犬の尾 熊村あけみ
◎高原の小径は霧に濃竜胆 井上美恵子
◎廃城の土塁の跡や秋の声 西村千鶴子
鮭のぼる由良川の瀬の滔滔と 西村千鶴子
敬老日百歳の手のやはらかし 松岡和子
いち早く虫の音を聴く幼かな 一村葵生
恋しぐれてふ朝顔の小さき実よ 向平まゆみ
ブレスレット外しひとりの宵の月 前田かよ子
奔放に枝の撓みて実むらさき 向平まゆみ
奥入瀬の白き流れや秋気澄む 井上美恵子
ほろほろと触れば零れ式部の実 小林佳月
秋天やねぐらへ帰る鳥の群 阪本節子
秋蝶やひとり降り立つ余呉の駅 山田流水
初秋の夜の深沈と寺門の灯 西村千鶴子
まろまろと光蔵して芋の露 中村良一
今生をひらりひらひら秋の蝶 山田流水
かがみ込むほどのさびしさ秋の水 一村葵生
蜻蛉や止まる葉先の水明り 阪本節子
秋色や川に迫り出す山の宿 山田流水
コンサート果てて湖畔の秋夕焼 小林佳月
秋蚕の小屋匂ひ立つ祖母の家 青木陽子
新米を竈で炊ける屋敷神 松岡和子
朝まだき闇に真白の花茗荷 小林佳月
源光庵(京都市北区)
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★ 9月 雉「関西句会」241回
令和5(2023)年9月24日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎足垂れて花野を渡るリフトかな 井浪千明
◎曼珠沙華荒るる棚田の畦巡り 徳永絢子
◎鳴き合うて霧の中より朝鴉 徳永絢子
猫の耳見え隠れして草の花 新谷亜紀
雨の香の残つてゐたる花野かな 井浪千明
曇天の遠に聞こゆる秋の雷 土屋明子
かまきりの鎌持ち上げて向き合へり 井上基子
山路来て吉野棚田の曼珠沙華 田子正流
ベランダに物干しをれば鹿の声 徳永絢子
月明り漣となる屋根瓦 田子正流
灯台の白鮮やかに爽やかに 井浪千明
白萩や水子地蔵のひとつ増え 原 万代
吉野路に訪ふ古刹彼岸花 田子正流
土いぢり肩にとんぼの翅の音 徳永絢子
藷蔓の絡まるままに売られをり 新谷亜紀
乗り越して戻る一駅星月夜 田子カンナ
ついてきてつと遠ざかる蜻蛉かな 土屋明子
ひそめども声は響けりちちろ虫 土屋明子
★ 次回「関西句会」のご案内
日 時:令和6(2024)年1月28日(日)午後1時半〜
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室1
歌舞伎の創始者 出雲の阿国の像(京都市東山区)
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★8月「大津・本丸句会」(第131回)
2023(令和5)年8月22日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎船渡御を待つ唐橋の人いきれ 向平まゆみ
◎新盆を仕舞ひし夜の茶漬かな 青木陽子
◎蜩や献燈の焔の立ち揺らぎ 西村千鶴子
蜩の包む参道早やも暮れ 向平まゆみ
遠くより寂び踊唄漁師宿 松岡和子
蜩の声に沈める天守跡 一村葵生
仰向けの蝉へと蟻の急ぎ足 小林佳月
蜩に開け放ち木の玩具館 松岡和子
庭下駄の鼻緒のしめり今朝の秋 熊村あけみ
黙祷の額を伝ふ汗しづく 青木陽子
耳元へ羽音のかすか夜の秋 井上美恵子
更くる夜の小窓に覗く盆の月 阪本節子
秋扇の残り香よぎる京都駅 小林佳月
老人の指より滑り白き桃 一村葵生
ビワイチの駆け行く速さ夏の風 井上美恵子
昃(ひかげ)れば満つるひぐらし峡の空 熊村あけみ
一陣の風に流され秋あかね 熊村あけみ
墓洗ふ混じる児の手に湖の風 青木陽子
外つ国の若き尼僧や堂涼し 松岡和子
油照り水面盛り上げ鯉の影 一村葵生
かりぽりと冷し胡瓜のリズムかな 井上美恵子
錆猫の腹見せてねる秋暑かな 西村千鶴子
影深き楠の大樹や長崎忌 熊村あけみ
撫子を愛でて一息伊吹山 向平まゆみ
手の甲の腫るる青筋劫暑かな 三雲宏一
ふくらみて落つる点滴遠花火 青木陽子
声援のボート寄り添ひ遠泳す 前田かよ子
再読の句集「広島」八月尽 小林佳月
★ 大津市本丸句会のご案内
12月19日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
人麻呂歌碑(城陽市)
]]>★ 8月 雉「関西句会」240回
令和5(2023)年8月27日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎踊り唄暗き川面をこえてきし 井浪千明
◎世阿弥忌の佐渡の夕波黄金なる 新谷亜紀
◎盆過ぎの風ゆき渡る仏間かな 新谷亜紀
短冊と軸を掛け替へ今朝の秋 田子正流
花苔は群るるままなり鑑真廟 小谷廣子
ひるがへるしろがねの波初嵐 小谷廣子
水遣りて仰ぐ朝空秋燕 徳永絢子
初秋の磯波の音聞くばかり 原 万代
刈り込みし生垣匂ふ良夜かな 中野はつえ
処暑の海刻々色を変へにけり 原 万代
石伐りし白き山肌花すすき 井浪千明
川風に髪を靡かせ大文字 新谷亜紀
伐り残る一樹が蝉の鳴き処 中野はつえ
端渓に墨磨りをれば鉦叩 田子カンナ
小さき靴土間に散らばり盆休み 新谷亜紀
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和5(2023)年12月24日(日)午後1時半〜
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★7月「大津・本丸句会」(第130回)
2023(令和5)年7月25日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎雲映る水面を走り遊び舟 熊村あけみ
◎炎天をゆらゆらと行く己が影 井上美恵子
◎廃校の校歌の山の滴れり 松岡和子
つながりて一灯づつの夜店の灯 青木陽子
木洩れ日の丸テーブルや氷菓溶け 一村葵生
なで肩の少女に着せる初浴衣 向平まゆみ
明易や始発の駅の屋台蕎麦 熊村あけみ
ラストワン子らのかけ声走る夏 前田かよ子
居眠りて手の動き止む団扇かな 青木陽子
山門や小雨に淡き合歓の花 山田流水
生業に疲れたる日の髪洗ふ 青木陽子
朝練の太き掛け声夏の雲 井上美恵子
芳しきかをり豊かに青田風 向平まゆみ
梅雨明や茶棚に光る江戸切子 青木陽子
ありなしの風におはぐろ蔓の先 向平まゆみ
明けやらぬ網戸に蝉の張り付きぬ 井上美恵子
朝焼けや出船の水尾の広ごりぬ 小林佳月
帰省子の小声で話す変声期 西村千鶴子
★ 大津市本丸句会のご案内
11月28日(火) 401号室 10時半〜12時半
於:大津市生涯学習センター
般若寺(奈良県奈良市)【撮影:田子正流さん】
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★ 7月 雉「関西句会」239回
令和5(2023)年7月23日(日)
☆田島和生主宰選(◎は特選)
◎灼けゐたる霊岩撫でて一願す 中野はつえ
◎虫送り一本松で折返す 小谷廣子
◎青淵へ吹きとぶ水泡(みなわ)合歓の花 小谷廣子
サンドレスふはり降り立ち無人駅 新谷亜紀
無精髭生やし加はる溝浚へ 中岡ながれ
裏参道大きほおずき色づけり 井上基子
玉垣の一基一基に苔の花 中野はつえ
浅井氏の滅びし地とや青田波 新谷亜紀
観世音おはす小暗き堂涼し 新谷亜紀
手水舎の水音涼し龍の口 田子カンナ
屈曲のまま微動せぬ守宮かな 新谷亜紀
七夕や願ひをこめる幼の字 井上基子
猫寝まる涼しき風の通り道 徳永絢子
酢に咽せて一気にすする心太 田子正流
走り咲く夏萩打ちて山の雨 徳永絢子
大木の影を陣取り氷菓売る 中野はつえ
羽蟻出で寡黙の夕餉騒がせり 中野はつえ
まつ白に家紋浮かせて墓洗ふ 井浪千明
枝先に行方を探る蝸牛 田子正流
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室4
日 時:令和5(2023)年11月26日(日)午後1時半〜
天龍寺「曹源池庭園」(京都市右京区)【撮影:北嶋八重さん】
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★6月「大津・本丸句会」(第129回)
2023(令和5)年6月27日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎山背より吹き下ろす風青田波 西村千鶴子
◎林中は暮れ方の風青葉木菟 西村千鶴子
◎炎天に色失へる炎かな 一村葵生
◎十一や深山隠れの廃寺跡 西村千鶴子
◎鴨川の澄める流れや藍浴衣 山田流水
熊笹の剣(つるぎ)山頂青嵐 松岡和子
日雀(ひがら)の子工事現場で水浴びす 三雲宏一
さびしさの極みや真夜の時鳥 一村葵生
おはじきのひとり遊びや梅雨の宿 前田かよ子
裏庭の風を馳走に夏座敷 熊村あけみ
白壁の塗屋造りや露涼し 西村千鶴子
紫陽花や女子高生のたむろして 一村葵生
取り付いて花と揺れゐる夏の虻 熊村あけみ
梅雨さなか釣糸垂るる黒合羽 小林佳月
はじめての空を旋回燕の子 小林佳月
夏霧の動き初めたる段畑 松岡和子
見え隠れして竹藪に夏の月 山田流水
三か月待てずに梅酒飲み減らし 前田かよ子
梅拾ふ背へこつんと実梅落つ 小林佳月
青空のリフト横切り揚羽蝶 青木陽子
清流や瑠璃の器に夏料理 井上美恵子
挨拶を交はすベランダ梅雨晴間 向平まゆみ
古びたる葭簀を抜ける浜の風 井上美恵子
祥月のたどる小径や花茨 熊村あけみ
木簡の出でし阜や夏燕 青木陽子
白杖の手を引く少女山桜梅 松岡和子
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★ 6月 雉「関西句会」238回
令和5(2023)年6月25日(日)
☆田島和生主宰 後日選(◎は特選)
◎青梅雨の木仏にほふ古刹かな 小谷廣子
◎早咲きの茄子に徒花ありしかな 中野はつえ
◎闇を抜け次の闇へと蛍かな 田子正流
枝先に行方を探る蝸牛 田子正流
突堤の風を孕んでアロハシャツ 新谷亜紀
風に揺れ雨に輝き濃紫陽花 井上基子
霊山の裾廻はなやぎ杜若 中野はつえ
降りさうで降らぬ一日梅雨の空 土屋明子
草の秀の蛍火映ゆる流れかな 徳永絢子
橋普請済みし夕べや河鹿笛 新谷亜紀
四脚門手擦れ柱へ糸とんぼ 田子カンナ
沙羅の花明日咲くつぼみ膨れけり 原 万代
昼暗き神域巡る今年竹 原 万代
つくばひに日の斑の揺るる梅雨晴間 中野はつえ
下校児の見せて笑顔や梅雨夕焼 徳永絢子
梅雨寒や梁に吊らるる竹人形 新谷亜紀
飛石の間に咲けり夏薊 井上基子
梅雨寒やからすの親子鳴いてをり 井上基子
血圧計食卓に据ゑ梅雨ごもり 中野はつえ
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 学習室
日 時:令和5(2023)年10月22日(日)午後1時半〜
法起寺三重塔(奈良県斑鳩町)【撮影:田子正流さん】
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★ 5月 雉「関西句会」237回
令和5(2023)年5月28日(日)
☆田島和生主宰 選(◎は特選)
献氷祭
◎艶やかにむらさきにじみ花氷 小谷廣子
◎倒れ木の鬚根をつたひ滴れり 中野はつえ
◎木の瘤の仏とまがふ木下闇 中野はつえ
◎たたら跡雨にけぶりて九輪草 原 万代
◎夏みかん啜り眩しき汀かな 新谷亜紀
葉桜の隙間より見ゆ青き空 井上基子
田の隅になほ青々と余り苗 新谷亜紀
鶯の声調ふや明石城 原 万代
病む夫の頬杖かしぎ夕薄暑 新谷亜紀
門を出て仰ぐ青空若葉風 田子正流
草むしる上を鴉の羽音かな 徳永絢子
風入れて月見櫓の吹き流し 田子カンナ
子燕の飛翔や低き雲へ鳴き 徳永絢子
濃く淡く白壁に映ゆ新樹かな 井上基子
濃く淡く豌豆の花赤みさす 土屋明子
我が腕を抜け出づる子やさるすべり 新谷亜紀
句碑開き晴れ着を濡らす緑雨かな 原 万代
葉桜や亡びし城の角櫓 小谷廣子
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 4号室
日 時:令和5(2023)年 9月24日(日)午後1時半〜
鳥居形の火と渡月橋 (京都市右京区)
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★5月「大津・本丸句会」(第128回)
2023(令和5)年5月23日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎水鏡なす蒲生野の代田かな 一村葵生
◎縁日を空まで抜けて夏燕 阪本節子
◎故郷の闇に匂へる花蜜柑 熊村あけみ
◎薄暑光五百羅漢は藪の中 阪本節子
◎現し世を忘れし人と居て涼し 熊村あけみ
薄端に生けし芍薬蘂零る 小林佳月
龍馬像遠き眼指し青葉潮 松岡和子
万緑やダム堰堤に口笛す 一村葵生
鷭の子のしきりに鳴いて湖暮るる 井上美恵子
風薫る梲の上がる城下町 青木陽子
南風吹く近江連山青々と 阪本節子
町並の垣根の若葉乳母車 青木陽子
青嵐音立て過ぐる行者道 西村千鶴子
今朝の雨筍掘りへ父ひとり 前田かよ子
嫁ぐ子の打掛展ぐ清和かな 西村千鶴子
砂埃舞ひ上がりつつ荒御輿 一村葵生
新茶汲むリングの光る薬指 前田かよ子
げんげ田の畚の赤子の機嫌よき 松岡和子
石槌の脊梁遥か夏霞 西村千鶴子
青楓天台座主の朱き衣 向平まゆみ
みづうみに沿うて北行く首夏の旅 西村千鶴子
麦秋や始業のチャイム鳴り渡り 熊村あけみ
耳もとへ囁やく初蚊打ちにけり 熊村あけみ
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★4月「大津・本丸句会」(第127回)
2023(令和5)年4月25日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎鶯の雨の疎林に声を張り 熊村あけみ
◎禅林の夜の沈沈と落椿 西村千鶴子
◎巣鴉の威嚇はげしき登城坂 西村千鶴子
書を読みて吾顔を拭く目借時 三雲宏一
次々とあくび繰り出す子猫かな 井上美恵子
産土の山のふところ代田澄む 松岡和子
手を合はす児の横顔や甘茶寺 向平まゆみ
三井寺の一打の余韻夕霞 青木陽子
蕗煮るや母の十八番の味となり 井上美恵子
羽根広げダンス一途に鳥の恋 向平まゆみ
芍薬の固き莟に力あり 小林佳月
花を得し幹がつしりとして黒き 一村葵生
レガッタの水面さざめく遠比叡 熊村あけみ
春塵の土匂ひ立つ登り窯 青木陽子
魚ん棚トロ箱に跳ね桜鯛 青木陽子
語り合ふ島の居酒屋太もづく 向平まゆみ
風しきり桜しべ降る忌明かな 井上美恵子
山葵田の畝の幾筋前穂高 西村千鶴子
花が枝に相寄る鳥の影二つ 一村葵生
湖北路や水田に映ゆる遅桜 熊村あけみ
裏参道うぐひすの鳴きあと三町 山田流水
叡山の稜線けぶる霾(よな)ぐもり 阪本節子
風そよと初茶摘女の赤襷 松岡和子
飴玉を舌でころころ春の風邪 井上美恵子
廃屋となりし生家や花蘇枋 松岡和子
小谷山(滋賀県長浜市)
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★ 4月「関西句会」(通信句会)236回
令和5(2023)年4月20日
☆田島和生主宰 選(◎は特選)
◎一山の芽吹きに村の匂ひけり 中野はつえ
◎携帯に遺るメールや鳥雲に 徳永絢子
◎戻り来し猫の額に花一片 徳永絢子
蒼天へ五指ひろぐごと辛夷咲く 中野はつえ
薙ぎ倒す小気味よき音草刈機 原 万代
鷹鳩と化し大寺の屋根歩く 椿 恒平
ひらひらとさくらひとひら盃に 蔭山正則
老幹の瘤に噴き出す残花かな 小谷廣子
夕映の草に沈みし白き蝶 田子カンナ
せせらぎへ音立て落つる藪椿 徳永絢子
春雨や一人鍬打つ山の畑 椿 恒平
蓬餅仄かに香り仏間かな 蔭山正則
帆柱の見ゆる北窓開きけり 井浪千明
潮待ちの浜や鱵の一夜干 小谷廣子
花の下手を振り合うて別れかな 田子正流
ころころと椿ころがる小径かな 土屋明子
花吹雪肩車の児はしやぎたる 井上基子
老木の芽吹く境内風渡る 蔭山正則
利き酒に胃のじんわりとあたたかし 新谷亜紀
ぴかぴかに仏具磨くや鳥帰る 井浪千明
晩春や旅の土産に熊野筆 椿 恒平
★ 次回「関西句会」のご案内
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 1号室
日 時:令和5(2023)年 7月23日(日)午後1時半〜
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★3月「大津・本丸句会」(第126回)
2023(令和5)年3月28日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎うたた寝の耳に春夜の遠汽笛 西村千鶴子
◎嘴に撥ぬる小魚風光る 一村葵生
◎初蝶や窯出しの空よく晴れて 西村千鶴子
引き抜きしその根嗅ぎけり蕗の薹 小林佳月
名の知らぬ鳥の高鳴き涅槃西風 熊村あけみ
島あげて教師見送る花の雨 青木陽子
春風に乗つて土器遠くまで 一村葵生
野火の手の上がりし辺り夫の影 松岡和子
伊予絣の女将ふくよか花の夜 松岡和子
渓泉の流れの中へ散る桜 山田流水
大屋根を我が世と囃し百千鳥 向平まゆみ
釣船や霞の奥に比良比叡 向平まゆみ
道草のわが子がここに花吹雪 一村葵生
昨夜の雨湛へ一輪白椿 熊村あけみ
満目の桜明かりや高瀬川 阪本節子
春泥を蹴り鉄棒の逆上がり 熊村あけみ
春霞山の沈みて二重三重 一村葵生
白蝶の垂直降下空青し 小林佳月
帰路を急く逢魔が時やリラ匂ふ 西村千鶴子
芹喰みて苦さ甘さの五十かな 前田かよ子
信濃路の雀隠れに道祖神 青木陽子
船笛や菜の花化して蝶となる 小林佳月
春光やカヌーを担ぐ声若し 向平まゆみ
春光やうつらうつらと琵琶湖線 井上美恵子
★ 大津市本丸句会のご案内
日 時・・・7月25日(火) 10時半〜12時半
会 場・・・大津市生涯学習センター 401号室
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★ 3月「関西句会」(通信句会)235回
令和5(2023)年3月23日
☆田島和生主宰 選(◎は特選)
◎漂へる形代雛に日の差し来 中岡ながれ
◎畦道に轍のうねる雨水かな 新谷亜紀
池底へ陽のきらめきて春近し 井上基子
紙雛朱塗の盆に飾りけり 椿 恒平
芽柳へしろがねの波うねりけり 小谷廣子
音もなく芽吹きをさそふ降りとなり 中野はつえ
群雲の掛かる伊吹嶺春の雷 椿 恒平
生みたての卵のぬくみ蝶の昼 西村千鶴子
コロナ禍を嘆く女将や月朧 蔭山正則
うららかや伊勢の赤福提げ帰り 小谷廣子
庚申へせせらぎひびき竹の秋 徳永絢子
引鴨の空高く飛び低く飛び 椿 恒平
永き日のからくり人形とまりたる 井浪千明
草萌や鴉鋭き眼して 原 万代
あたたかや墓に花の句刻みあり 徳永絢子
春耕の鍬の一振り土匂ふ 蔭山正則
★ 次回「関西句会」のご案内
日 時:令和5(2023)年 6月25日(日)午後1時半〜
会 場:小田北生涯学習プラザ 2F 1号室
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★2月「大津・本丸句会」(第125回)
2023(令和5)年2月28日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎老松の洞に賽錢風光る 小林佳月
◎一徹な横顔なりし垣手入 熊村あけみ
◎雪深し鴉の集る一ところ 一村葵生
公魚の釣人無言余呉の湖 前田かよ子
一天の音なかりけり薄氷 中村良一
母の忌や夜目にも白き梅の花 青木陽子
浅蜊汁日本物よと夕餉かな 阪本節子
迫真の鬼に泣く子ら節分会 松岡和子
炬燵舟間合ひ保ちて行き交ひぬ 前田かよ子
山寺へ降りて来さうな春の月 松岡和子
梅が香や庵に八十路の姉妹 小林佳月
荒鋤の田の面光れり水温む 小林佳月
蝶の昼箸にふんわり玉子焼き 青木陽子
蹲踞の水ちよろちよろと散椿 西村千鶴子
にはか祢宜の夫の祝詞や午祭 松岡和子
放牧の牛の咀嚼や下萌ゆる 中村良一
グローブへ球音収め冴へ返り 前田かよこ
黒潮を校歌でたたへ卒業す 熊村あけみ
日溜りの路肩際立つ野水仙 阪本節子
鳶あまた杉の秀に舞ふ余寒かな 熊村あけみ
春泥に靴を取らるる幼かな 一村葵生
鴨引きてはや落日の余呉の湖 西村千鶴子
つぼ湯てふ我が極楽や春の風 山田流水
春一番眼の爛々と不動尊 向平まゆみ
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★1月「大津・本丸句会」(第124回)
2023(令和5)年1月24日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印 特選)
◎街灯の点滅しきり虎落笛 向平まゆみ
◎能面のうすき笑ひや藪柑子 中村良一
◎大寒やかつと眼開く摩崖仏 中村良一
◎廃校の鼬の走る長廊下 松岡和子
もこもこと雪雲の湧く夕べかな 小林佳月
とことことややのあしおと日脚伸ぶ 熊村あけみ
残照のなほ仄とあり初御空 西村千鶴子
大根洗ふ珠の日和を授かりて 松岡和子
伝来の樽の箍締め大根漬 松岡和子
火柱にだんご放り込むどんどかな 松岡和子
狛犬の阿吽をぬらす時雨かな 阪本節子
園の隅仄かに灯り寒椿 三雲宏一
初雪や俳書選びて書肆を出づ 青木陽子
橡の秀に睥睨の青鷹 西村千鶴子
伊勢神楽そはそはと待つ日暮かな 向平まゆみ
寒風や赤いポンチョの地蔵様 前田かよ子
噴き上る蒸籠の湯気や寒の餅 西村千鶴子
母一番笑うてゐたり初写真 熊村あけみ
凩のひたと閉て切る戸口かな 一村葵生
底冷の膳所の古町川魚屋 小林佳月
一入と言ふべかりけり初句会 一村葵生
若井汲む築百年の京町屋 西村千鶴子
水鳥の湖面を砕き駆けにけり 阪本節子
☆ 大津市本丸句会(次回)のご案内
日 時 : 5月23日(火) 10時半〜12時半
会 場 : 大津市生涯学習センター 201号室
山科疏水公園
]]>★12月「大津・本丸句会」(第123回)
2022(令和4)年12月20日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印特選)
◎海光と相照らし合ひ蜜柑山 熊村あけみ
◎街路樹の影の整ひ寒の晴 熊村あけみ
◎神々の恋は奔放里神楽 松岡和子
にほどりの潜(かず)き見てゐて日は西に 西村千鶴子
蝋燭の影ゆらゆらと聖夜かな 前田かよ子
余呉湖
羽衣の謂れ久しき冬の湖 西村千鶴子
コート客どつと降り立つ終の駅 西村千鶴子
鍬に身を預けひと息冬田打 松岡和子
香煙の絶えぬ庵や桃青忌 西村千鶴子
ふくらみて小枝に弾む寒雀 阪本節子
湖の群青色や鴨の陣 小林佳月
啼く鳶の声を探せば冬の雲 山田流水
小忙しき一日の暮れておでんかな 向平まゆみ
黄檗の大屋根の反り冬の月 中村良一
冬ざれや風によく耐え松みどり 青木陽子
神々し雪の比良の嶺真正面 小林佳月
湯の宿の夜通し落葉時雨かな 松岡和子
賀茂川の合流点や鴨の声 西村千鶴子
物音に眉のぴくりと冴ゆる夜 井上美恵子
山茶花の紅白咲きて笑ひ声 山田流水
くるくると舞へ舞へ落葉風に乗れ 井上美恵子
叡電の窓に薄日や花八手 向平まゆみ
柚の香や日付の替はる仕舞風呂 松岡和子
葬列の里山過る冬の鳶 熊村あけみ
有岡城跡 (JR伊丹駅前) 【撮影:田子正流さん】
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★11月「大津・本丸句会」(第122回)
2022(令和4)年11月22日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印特選)
◎ 酒蔵の匂ひに酔ひし神無月 山田流水
◎ 発掘の須恵器のかけら小春風 中村良一
◎ 北国の脇往還や懸大根 西村千鶴子
象嵌の小柄の冴えや冬日向 阪本節子
小春風小鳥の遊ぶ鬼瓦 松岡和子
山茶花のひとつ開きて朝日かな 熊村あけみ
冬雲や夕映ながき比良の峰 熊村あけみ
襖絵の褪せて離宮や秋の蝶 向平まゆみ
人の輪へもの言ひたげに冬の鹿 前田かよ子
一瀑に差入る光冬紅葉 中村良一
生家跡ただ一面の花野かな 松岡和子
師の句碑の刻字きはやか秋日射し 西村千鶴子
ちんまりと母の顔ある炬燵かな 青木陽子
金色の籾殻煙る冬隣 阪本節子
縁側に妻の髪染む冬うらら 松岡和子
尼寺の小さき本堂十夜鉦 松岡和子
新藁で括る白峰堅豆腐 松岡和子
喧嘩してあとはだんまり葱刻む 向平まゆみ
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★10月「大津・本丸句会」(第121回)
2022(令和4)年10月26日(水)
☆ 田島和生主宰 選
遅咲きの竜胆の色極めをり 向平まゆみ
桧葉添へて友より届く丹波栗 青木陽子
コスモスの揺らぎ揺らぎて立ちてをり 前田かよ子
壷に活け収まりつかず吾亦紅 井上美恵子
秋澄むや白山に雲ひとつ無き 馬場千香子
漆黒の富士を掠めし流れ星 前田かよ子
剪定の枯枝を焚く火の太し 一村葵生
頬づえし母のマニュキュア秋麗 前田かよ子
山霧に家紋の幟関ケ原 中村良一
逆上りせる子の足へいとど飛ぶ 西村千鶴子
焼討の平泉寺谷紅葉燃ゆ 松岡和子
箱膳へ夫の好みの零余子飯 西村千鶴子
秋桜花びらの影花びらに 一村葵生
裏山へ流れ矢のごと秋の雨 三雲宏一
流星を仰ぎ岬の露天風呂 向平まゆみ
黄葉晴ジャズの流るる丸太小屋 青木陽子
令和五年 下鴨神社 大絵馬 【撮影:北嶋八重さん】
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★9月「大津・本丸句会」(第120回)
2022(令和4)年9月26日(火)
☆ 田島和生主宰選 (◎印特選)
◎廃校の池を灯して秋蛍 松岡和子
◎伊吹山闇を深めて今日の月 安藤照枝
◎爽やかや襟足過ぐる湖の風 井上美恵子
レコードのムード歌謡や夜半の秋 青木陽子
肩先へ風の触れ行く今朝の秋 向平まゆみ
雀まで金色に見え豊の秋 馬場千香子
秋蝶の往生せしか石の上 山田流水
きらきらと句碑に秋日や浮御堂 井上美恵子
産土の鳥居は白木望の月 松岡和子
稲の香や遥かに浮ぶ三上山 向平まゆみ
乳母車幌へ蜻蛉のつと止まり 西村千鶴子
新米を炊くや竈(くど)の火あかあかと 松岡和子
秋爽や松の影濃き五十鈴川 安藤照枝
秋蝶の二つとなれば高くなり 青木陽子
地蔵川冷し西瓜の沈めらる 安藤照枝
大雪吊り (金沢市 兼六園) 【撮影:田子正流さん】
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★ 8月「関西句会」234回 8月28日
☆ 田島和生主宰 選(◎は特選)
◎田に注ぐ水音かろき稲の花 柴田惠美子
◎地虫鳴く廃寺の庭の石畳 椿 恒平
久々に履く庭下駄や秋の風 田子正流
新築の騒音止みて月今宵 柴田惠美子
鶺鴒の石すれすれに飛びにけり 井上基子
人近く雀の寄り来今朝の秋 柴田惠美子
友の忌の間近になりて盆の月 柴田惠美子
夜半の雨やみてしじまや虫の声 柴田惠美子
新豆腐と書かれし紙や墨にじむ 田子カンナ
草千里犬の放たれ秋の風 田子カンナ
かなかなにせかされ朝の目覚かな 田子正流
持て成さるコーヒー熱き処暑の風 田子カンナ
もろこしの香の香ばしき出店かな 井上基子
夕暮れの川のさざ波初秋風 柴田惠美子
少年の声父に似て秋高し 田子カンナ
幼子の声せる隣家盆の月 田子正流
田島和生句碑 (妙栄山高岸寺)金沢市
「かなかなの魂ふるばかり加賀の國 和生」
【撮影:田子正流さん】
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★7月「大津・本丸句会」(第119回)
2022(令和4)年7月26日(火)
☆ 田島和生主宰選(◎印特選)
◎夏足袋のこはぜくひ込む立稽古 西村千鶴子
◎どの窓も青田風来る校舎かな 熊村あけみ
◎達筆の母の絵手紙桃匂ふ 西村千鶴子
◎雷鳴に読書の背中打たれけり 青木陽子
長刀鉾白き化粧の稚児の見栄 山田流水
茄子漬をひとつ抓んで微熱の夜 向平まゆみ
白砂に白き波来る海開 熊村あけみ
海峡の赤き鉄橋大南風 熊村あけみ
到来の実梅笑窪とあばたあり 向平まゆみ
ペチュニアのあふれて色をこぼしけり 井上美恵子
蜘蛛の糸樹間に高く光りけり 一村葵生
風はなく人影見えず蝉しぐれ 山田流水
ビルの影揺らめいてゐる炎暑かな 青木陽子
桶狭間古戦場跡木下闇 小林佳月
苔の上置かれしやうに落し文 一村葵生
明石大橋一望にして夜涼の灯 安藤照枝
蛍火や母へ一匙嚥下食 西村千鶴子
小魚の群れて涼しき眼鏡橋 熊村あけみ
訃報欄に初恋の人白木槿 松岡和子
ペディキュアの赤の艶めき藍浴衣 井上美恵子
百貨店解く地響や炎天下 安藤照枝
藻の花や木橋をくぐる手漕舟 西村千鶴子
しんしんと修験の山の蝉の声 一村葵生
御典医の裔の医院や枇杷熟るる 松岡和子
夏帽を振りしが永久の別れとは 松岡和子
つくばね 【提供;北嶋八重さん】
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★6月「大津・本丸句会」(第118回)
2022(令和4)年6月28日(火)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎ 国宝のまばゆき刃(やいば)麦の秋 青木陽子
◎ 酒ばかり届き父の日暮れにけり 熊村あけみ
◎ いくたびも文書き直す梅雨の雷 青木陽子
◎ 素麺の氷ちりんと風生まる 向平まゆみ
◎ 味噌蔵を出入り忙しき夏燕 西村千鶴子
廃校の窓一面の大夕焼 松岡和子
山百合や秘湯の宿の高框 松岡和子
紫陽花に触れつつ停まる一輌車 青木陽子
夕立雲立つや吾妹(わぎも)が家の辺(へ)に
一村葵生
酔客の傘で分け入る夏のれん 西村千鶴子
初茄子や夕餉色よき揚げ浸し 向平まゆみ
地を歩く鴉卯の花くたしかな 熊村あけみ
田舎家の引戸重たき梅雨じめり 松岡和子
青鷺の漁る水田や雨もよひ 向平まゆみ
石臼の雨水へ浸す濃あぢさゐ 西村千鶴子
八幡宮(やはたぐう)大緑陰の紙芝居 松岡和子
校舎よりブラスバンドや麦の秋 安藤照枝
梅雨深し湖岸に拾ふシーグラス 熊村あけみ
ほととぎす杉の秀空を射るごとし 熊村あけみ
朝涼や逆さ伊吹の三島池 安藤照枝
緑陰や手押し車に身をあづけ 熊村あけみ
揚花火果てて波音すぐそこに 青木陽子
母の手を引きて早足初螢 前田かよ子
横町の廂間(ひあわひ)掠め夏燕 向平まゆみ
落ちてなほ白の眩しき沙羅の花 阪本節子
ガーデンミュージアム比叡
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★ 6月「関西句会」233回 6月29日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎木洩れ日のそよぎもあらず日の盛り 中野はつえ
◎八幡の笛の流るる早苗月 田子カンナ
◎御開扉の業平像やお風入れ 田子カンナ
◎手術待つ十一階や雲の峰 徳永絢子
てのひらにすくひ消えざる螢の香 原 万代
波を聞く展望風呂や夏つばめ 原 万代
茶を淹れて代田の前の夫婦かな 中岡ながれ
青色のシャツは弟苗運び 中岡ながれ
緑蔭や子連れ雀のかまびすし 徳永絢子
列なして何処に向かふ蟻の群 井上基子
産声のあがる産院さくらんぼ 椿 恒平
葉桜の影へパン屑鯉の口 柴田惠美子
人気なき雨の川辺や夏燕 田子正流
峠より見おろす城下風薫る 田子正流
柚の花を添へて両家の見合の間 椿 恒平
腰の皮落とし伸びゆく今年竹 椿 恒平
藻の花の流れに鍬を洗ひをり 柴田惠美子
楽市のポン菓子爆ぜる日の盛り 原 万代
白雨去り木の香草の香匂ひ立つ 中野はつえ
木下闇眼光鋭き不動尊 田子正流
堀端へ傾ぐ木の影鴨涼し 柴田惠美子
辻堂の巣を食み出せり燕の子 徳永絢子
りんどう 【提供:北嶋八重さん】
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★5月「大津・本丸句会」(第117回)
2022(令和4)年5月28日(土)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎浜木綿や夜も白波の寄せやまず 熊村あけみ
◎片雲の影くつきりと青嶺かな 一村葵生
納骨へ念仏響き著莪の花 阪本節子
筍を包む新聞泥まみれ 前田かよ子
優曇華へ一灯暗し杣の家 青木陽子
土壁の家ぬち暗し古団扇 中村良一
夏めくや山すそ奔る水の音 熊村あけみ
卯の花や友と語らふ奥座敷 井上美恵子
大空に鷺立つごとく代田かな 馬場千香子
林道へ滾つ瀬音や夏来る 向平まゆみ
咲き満ちて風に諾う牡丹かな 熊村あけみ
薫風や城を支ふる芯柱 安藤照枝
漣のひかり眩しき湖五月 中村良一
大き船岬へ消ゆる青葉潮 熊村あけみ
吊橋の立夏の風に揺れにけり 井上美恵子
滝風のしぶきの舞へり高千穂峡 井上美恵子
竹散るや竹の小道の石地蔵 山田流水
ほつつじ 【提供 : 北嶋八重さん】
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★ 5月「関西句会」232回(通信句会)5月23日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎靄がかる白き灯台明易し 井浪千明
◎もも色の腹見せ蠑螈ひらひらす 井浪千明
◎麦刈るや兵士の墓の高く見え 椿 恒平
雨に濡れ芍薬の珠綻びぬ 井上基子
磐座の石灯籠や苔茂る 原 万代
工房の一つ灯りて遠蛙 新谷亜紀
葉桜や青年の下げ旅鞄 柴田惠美子
遠山に白き雲湧く夏初め 椿 恒平
貝殻に泡残し引く卯波かな 中野はつえ
樟若葉陣屋の道に張り出せる 中岡ながれ
新樹光賓頭盧さまのみ手の艶 柴田恵美子
じやんけんの声のはじける五月かな 中野はつえ
用水のきらきら走る薄暑かな 中岡ながれ
鯉跳ぬる水音八十八夜かな 小谷廣子
大樽をあふるる布袋葵かな 新谷亜紀
採血の窓に渦巻き竹落葉 中野はつえ
水田の泥をついばみ夏燕 柴田恵美子
いでたちの黒子めきたり鮎を釣る 井浪千明
貴船神社の七夕竹 【撮影:北嶋八重さん】
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★4月「大津・本丸句会」(第116回)
2022(令和4)年4月26日(水)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎嬰の頬つつけば笑窪花の風 安藤照枝
◎枝越しに湖のかがやき朝桜 安藤照枝
◎廃校は木の玩具館風薫る 松岡和子
花蘂に月のひかりの白牡丹 青木陽子
たんぽぽや子の蹴る球を父が追ひ 熊村あけみ
音の鳴る絵本を読む子花は葉に 小林佳月
池の面のひかり遍き水草生ふ 熊村あけみ
母に会ふ旅や車窓の麦青む 馬場千香子
逝く人へ告ぐる言の葉別れ霜 熊村あけみ
瓦師の太き腕や屋根替ふる 西村千鶴子
加賀の旅春の霰に打たれけり 馬場千香子
咲き満ちて幹の湿るや大桜 安藤照枝
しばらくは花見に停まり屋形船 青木陽子
春の風ブイヤベースの香るかな 阪本節子
葉桜や古きベンチに忘れ傘 青木陽子
平等院 鳳凰堂と池の睡蓮 【撮影 : 北嶋八重さん】
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★ 4月「関西句会」231回(通信句会)4月22日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎荒神の空晴れ晴れと初燕 柴田惠美子
◎枳殻垣棘ぱらぱらと剪定す 新谷亜紀
◎ふくらみてチャボの腹這ふ春の土 新谷亜紀
滝つ瀬の白波高し朝桜 小谷廣子
山あひへ響き春田の鍬の音 椿 恒平
畑中へ散りゆく寺の桜かな 中岡ながれ
菜種梅雨ぼた餅の餡練つてをり 柴田惠美子
蒲公英にすまぬすまぬと芝を刈り 山田流水
花吹雪双手を上げて児の駆けぬ 井上基子
沈丁花夜風になほも匂ひけり 中野はつえ
風に散る花や近江の水田べり 椿 恒平
門前の坪畑打てる作務衣かな 徳永絢子
新緑や一歩一歩に沢の音 原 万代
★ 7月「関西句会」のお知らせ
日 時 7月24日(日)1時半〜
場 所 尼崎市小田北学習プラザ
浜撫子 (はまなでしこ)【提供 : 北嶋八重さん】
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★3月「大津・本丸句会」(第115回)
2022(令和4)年3月26日(水)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印 特選)
◎堰越ゆる水のきらめき春の鴨 熊村あけみ
◎婚の荷に油単の家紋風光る 松岡和子
◎家猫の恋やつれして戻りけり 西村千鶴子
春耕の人また紫煙くゆらせり 西村千鶴子
チェンソーの遠くに唸り山笑ふ 青木陽子
雪折れの枝そのままに初桜 一村葵生
グラス持つ指のマニキュア春の宵 井上美恵子
頬の疵さえもゆかしき土雛 向平まゆみ
身まかりし人のつぎつぎ春の夢 青木陽子
梅が香を探る奈良道まがり道 向平まゆみ
破れ垣を出入りの繁き春の猫 馬場千賀子
小さき手に小さき数珠持ち彼岸寺 向平まゆみ
諸子焼く小体(こてい)な店や網代張 西村千鶴子
芽起こしの雨にけぶれり浮御堂 安藤照枝
トロ箱に跳ねて明石の桜鯛 青木陽子
みどり児と幼ふたりや雛の家 前田かよ子
雪解風駅より人の流れ出で 一村葵生
子供等の飛ばす円盤春夕焼 三雲宏一
春の野や土に絵を描く兄弟 向平まゆみ
天麩羅にせむと摘みをり蕗の薹 小林佳月
京丹後市の花の寺「如意寺の山門」
(門から見えるのは久美浜湾の内海)
【撮影:北嶋八重さん】
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★ 3月「関西句会」(通信句会)3月23日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎倒れ木をくぐりて来たり芹の水 井浪千明
◎山鳩のくぐもり鳴ける彼岸かな 井浪千明
◎切株に石を積む子や夕永し 新谷亜紀
松影を背にすれ違ふ春の鯉 柴田惠美子
山腹の地蔵へあまた落椿 徳永絢子
肩寄せて歌ふイマジン春夕焼 新谷亜紀
懇ろに墓標の黄砂拭ひけり 徳永絢子
薄氷を午後の川風揺らしけり 原 万代
岩陰のあはき光や菫草 椿 恒平
青年の吹く篠笛に春惜しむ 井浪千明
啓蟄のぬた場に小さき虫飛べり 徳永絢子
下萌や橘寺へ畦づたひ 小谷廣子
指先をほぐすやうなり種を蒔く 中野はつえ
驚きて箸を止めたる初音かな 山田流水
★ 6月「関西句会」のお知らせ
日 時・・・ 6月29日(水)1時半〜
場 所 ・・・尼崎市小田北学習プラザ
鳥足升麻(とりあししょうま) 【提供 : 北嶋八重さん】
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★2月「大津・本丸句会」第114回(通信句会)
2022(令和4)年2月
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎発掘の穴に白線小雪ちる 中村良一
◎産土の檜皮本殿雪解光 松岡和子
◎浅春の口ついて出る校歌かな 熊村あけみ
母逝きて庭を守れり竜の玉 松岡和子
雪解水吸うて潤ふ蕾かな 井上美恵子
リズムよき雪解の音や大伽藍 安藤照枝
神木の杉や雪解のかぐはしき 安藤照枝
やうやくに日の和らぎぬ種選 熊村あけみ
茅葺の小さき本堂春障子 松岡和子
燦燦と川面の光り春近し 三雲宏一
山の宿素焼きの壺に梅の花 山田流水
蠟梅の一枝を卓に一人の餉 馬場千香子
天神の背戸の日溜り実万両 阪本節子
銃声の響き渡るや氷る沼 中村良一
兼好の住みし庵や春の雪 山田流水
手水舎の水呑む猫や梅匂ふ 西村千鶴子
春疾風桧山杉山うち騒ぎ 熊村あけみ
幼らのこはごは鬼へ豆を打つ 馬場千香子
渡月橋袂に匂ふ桜餅 青木陽子
サイレンに寝返る闇の余寒かな 向平まゆみ
宝ヶ池公園 (京都市左京区)
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★ 2月「関西句会」(通信句会)2月21日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎迫りあがる波に日の透け春浅し 井浪千明
◎芽吹かんと木々のさやぎの鎮守かな 中野はつえ
◎靴底に吸ひ付く土や畦青む 新谷亜紀
細格子つづく家並や鰈干す 井浪千明
沖を背に波切不動薄霞 原 万代
朝日浴び蕪洗ふ手の真つ赤なり 井上基子
料峭の水沫(みなわ)かがよふ早瀬かな 小谷廣子
大丸太組みて納札燃やしをり 徳永絢子
立春の明るさに鯉跳ぬるなり 柴田惠美子
唸りては恋猫跳ぬるトタン屋根 新谷亜紀
夢殿へ砂利踏む音の余寒かな 小谷廣子
仄暗き脇本陣や雛飾る 井浪千明
一酌に添へほろにがき花菜漬 柴田恵美子
野梅見に紙と鉛筆ポケットに 徳永絢子
老幹の瘤隆々と春立てり 中野はつえ
末黒野に真青な空ありにけり 中岡ながれ
早春の明星殊にきらめけり 柴田惠美子
神木の大きな洞(うろ)へ寒卵 小谷廣子
山門の閂外す寒の明け 井浪千明
湯に放ち三葉たちまち真緑に 新谷亜紀
春炬燵猪口一杯に転寝す 中野はつえ
泥濘を大きく跳んで春の猫 徳永絢子
★ 5月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で柴田惠美子さんまでお願いします。
締 切 5月23日(月)必着
砂引草 【提供 : 北嶋八重さん】
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★1月「大津・本丸句会」(通信句会)2022(令和4)年1月26日(水)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎二人してオールディーズを聴く聖夜 向平まゆみ
◎羽子かかる松の青さや昼の月 西村千鶴子
◎「それから」を読み返す夜や寒灯下 小林佳月
書道展賞を告ぐる子息白し 青木陽子
家犬も寄る年波や寒夜鳴き 一村葵生
わが喜寿に婿より受くる年の酒 安藤照枝
寒造壁に杜氏の覚え書き 安藤照枝
白川や歌碑に冬日のやはらかき 阪本節子
左義長の灰神楽なるかつぽ酒 松岡和子
初稽古空へ円描く太極拳 青木陽子
過疎の村太る一夜の軒氷柱 安藤照枝
獅子舞の酒によろける後ろ足 西村千鶴子
点滴の落つるを数へ霜の夜 向平まゆみ
百磴を僧の下り来る横しぐれ 一村葵生
風花の舌に一片ふうはりと 井上美恵子
鐘の音の幽かにわたる雪の暮 一村葵生
初夢や遠き昔の甘き恋 山田流水
雪の比良釣人黒き影となり 向平まゆみ
小雪舞ふ瀬田の唐橋母子連れ 山田流水
吊るしある紋付喪服雪明り 西村千鶴子
冬日和気持高ぶる旅支度 山田流水
もの書きのもの狂ほしや雪籠り 一村葵生
雪やみて夕べの雲の暗さかな 小林佳月
かくまでに黒を極めて寒鴉 中村良一
温顔の母の帰天や冬菫 熊村あけみ
母の膝乳首咥ふる初笑 青木陽子
鉄瓶の滾つ音して寒に入る 中村良一
智積院の「五色幕」 【撮影 : 北嶋八重さん】
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★ 1月「関西句会」(通信句会)1月21日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎ついときて畦をつがひの田鳧かな 小谷廣子
◎追羽子に雲はどこにもなかりけり 中岡ながれ
八方を飾り見場よきとんどかな 原 万代
改札に餅花ゆるる無人駅 中野はつえ
この奥に窯焚くひとり冬木立 中岡ながれ
冬凪や遠まなざしの竜馬像 井浪千明
なだらかな富士の稜線初日の出 椿 恒平
高らかに宮司の祝詞淑気かな 井上基子
赤蕪を洗ひ手のひら赤らめり 新谷亜紀
頭撫で小言も添へてお年玉 中野はつえ
朝日子へ五重塔の雪しづく 小谷廣子
初鴉空広々とありにけり 柴田惠美子
山の風すつかり止みて除夜の鐘 中岡ながれ
水行の僧の湯気立つ寒の入 柴田恵美子
雪折の響きて後は音もなし 椿 恒平
臙脂濃き色にふくらみ冬木の芽 井浪千明
神木の一枝に紅き冬芽立つ 中野はつえ
畑に撒く糠に集(たか)りて寒雀 柴田惠美子
無聊にて注連の傾ぎを正しくす 中野はつえ
★ 4月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で中野はつえさんまでお願いします。
締 切 4月22日(金)必着
二輪草と山葵の花 【提供 : 北嶋八重さん】
]]>★12月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年12月26日(日)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印 特選)
◎湯かげんを問ふ焚口や花八手 熊村あけみ
◎廃校の百葉箱や初時雨 松岡和子
◎落日の金の縁取り冬鷗 阪本節子
年の瀬や出町の餅屋人集ひ 阪本節子
初雪をかむる庭石みな仏 青木陽子
朗朗と僧の読経や冬灯 青木陽子
湯上りの肌匂ひ立つ柚子湯かな 井上美恵子
つぼを押す整体の指冬ぬくし 一村葵生
冬もみぢ住む人見えず音もなく 山田流水
風が揉み日の慈しみ吊し柿 松岡和子
節くれの指の注連綯ふ翁かな 一村葵生
着ぶくれて犬に曳かるる散歩かな 青木陽子
しぐるるや母屋の灯り薄暗き 山田流水
珍しく老のお代はり冬至粥 馬場千香子
餅搗きの新調の釜試し搗き 小林桂月
本買うて寒夕焼を帰りけり 熊村あけみ
竿竹に揺るる干し蛸しぐれけり 安藤照枝
かひつぶり対の餌採る冬の川 三雲宏一
年の瀬や友の手術の院灯り 山田流水
段畑に柚子捥ぐ夫のラヂオ付け 松岡和子
遠山に雪の見ゆるや朝の駅 井上美恵子
朝日子の差して金閣雪景色 阪本節子
一陣の風に落葉の走り出し 中村良一
冴ゆる夜や規則正しき貨車の音 西村千鶴子
一段と強き雨足木守柿 青木陽子
抽斗の底をはたきて師走かな 向平まゆみ
藁回し叩く木槌や注連作り 安藤照枝
下鴨神社の流し雛 【撮影 : 北嶋八重さん】
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★ 12月「関西句会」(通信句会)12月17日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎城近く住みて年木を積みにけり 中岡ながれ
◎門掃きは独りの時間冬菫 新谷亜紀
◎しぶき上げ冬菜を洗ふ男の手 新谷亜紀
初霜に朝日差し込むぬた場かな 小谷廣子
海蝕の洞門聳え冬の波 新谷亜紀
怖きまで尖りて冬の鎌の月 中野はつえ
吊し柿わが家の軒に光りをり 山田流水
短日や地盤調査の音ひびき 柴田惠美子
歳の市値札蹴上げる車海老 中野はつえ
冬夕焼鎮守の森へ鴉二羽 柴田惠美子
夫の忌や燗熱うして酔はざりし 中野はつえ
わが影をつついて漁る冬の鷺 原 万代
日時計に短日の日のとどかざる 中野はつえ
とめどなき銀杏落葉にぬくみあり 井上基子
ベランダに日のある手すり冬雀 柴田惠美子
年の市暗がりに買ふまねき猫 椿 恒平
枯菊を焚きゐる煙路地を這ひ 柴田惠美子
返り花女人高野の日だまりに 小谷廣子
★ 3月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で原 万代さんまでお願いします。
締 切 3月23日(水)必着
すみれ 【提供 : 北嶋八重さん】
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★11月「大津・本丸句会」(通信句会)
2021(令和3)年11月26日(金)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎ 錦秋の駅へ鈍行すべり込む 安藤照枝
◎ 物売のこゑ遠ざかる冬隣 西村千鶴子
◎ 前を行く人にも木の葉時雨かな 一村葵生
はらはらと冬へと急ぐ梢かな 熊村あけみ
茶の花に墨の匂へる札所寺 青木陽子
凩や土鍋の罅の広がりて 向平まゆみ
立冬の浜や鰈の天日干し 阪本節子
岩々に羅漢のゑまひ冬うらら 向平まゆみ
艶めきて薄紫のもみぢかな 前田かよ子
芒原なびくばかりや人を見ず 井上美恵子
紅葉狩石段のぼるハイヒール 中村良一
木の実降る義民蜂起の郷社なり 松岡和子
寒菊の茎細うして雨の中 一村葵生
夕霧に見えつ隠れつ竹生島 向平まゆみ
一歳の子の歩み初む小春かな 馬場千香子
散紅葉早や暮れ初むる山の寺 向平まゆみ
紅葉寺老尼可憐に笑みたまひ 松岡和子
日の射して花芯かがやく紅椿 阪本節子
寺紅葉夕されば人集ひをり 中村良一
郁子の実の卓にごろんと置かれあり 井上美恵子
渓紅葉トロッコ列車の発車ベル 安藤照枝
叡山の峰の鋭角冬来る 熊村あけみ
★2月「大津・本丸句会」も通信句会になります。
締 切 2月26日(土)
曼殊院の勅使門 【撮影;北嶋八重さん】
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関西句会(通信句会)令和3年11月22日(226回)
★田島和生主宰選(◎は特選)
◎ 神前に寝転びもして七五三 中野はつえ
◎ 山畑の一たび晴れてしぐれけり 椿 恒平
◎ 手入れよき御所の赤松初しぐれ 小谷廣子
人の声消され箕面の冬の滝 柴田惠美子
ゴム前掛岸壁に干し冬うらら 井浪千明
夢殿の秘仏を覗き冬帽子 新谷亜紀
割りさしの薪ごろごろと冬に入る 中岡ながれ
落日の凪の海原秋惜しむ 柴田惠美子
渓流の渦ほとばしる照紅葉 小谷廣子
毘沙門の忿怒の顔へ冬の蠅 徳永絢子
小春日や亀立ち泳ぐ心字池 中野はつえ
おでん酒正倉院展観し夜の 新谷亜紀
普段着で僧の出で来し小春かな 中岡ながれ
枯色の頭回していぼむしり 井上基子
小春日や香煙縷々と夫の墓 徳永絢子
冬凪や鱗のひかる計量器 井浪千明
摘み菜汁すすり孫来る話など 新谷亜紀
燃え残る火を見届けて秋収め 原 万代
小春日や庭師の軽き足捌き 井上基子
夕富士に笠雲かかる冬はじめ 椿 恒平
岩囲み紅葉ひときは濃かりけり 原 万代
大根の煮くづれ甘き夕餉かな 小谷廣子
★ 2月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で柴田惠美子さんまでお願いします。
締 切 2月21日(月)必着
ふきのとう 【提供 : 北嶋八重さん】
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★10月「大津・本丸句会」(通信句会)
2021(令和3)年10月27日(水)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎秋蝶の日向にありてあわただし 中村良一
◎野良猫の板塀潜る花八手 青木陽子
◎後の月下モの橋にも人の影 一村葵生
群雀刈田飛び立つ胸白き 馬場千香子
夫恋へば庭のちちろのすがれ声 西村千鶴子
ゴンドラの漕ぎ手の歌ふ良夜かな 青木陽子
秋深し薄刃研ぎをる厨かな 阪本節子
厠出で手水使ふや万年青の実 西村千鶴子
流れゆく列車の窓の秋灯 一村葵生
手間隙の栗おこは今蒸し上がる 小林佳月
朱をきはめ鶏頭の種こぼれをり 熊村あけみ
秋気いま寺に弾きたる平家琵琶 青木陽子
幾重にも蔦纏ひ付く合歓を切り 小林佳月
秋寂ぶや大屋根越しに鷺の森 山田流水
秋深し即身仏の赤頭巾 松岡和子
向かひ合ひ終ひ茄子捥ぐ夫婦かな 馬場千香子
枯れそむる蟷螂の目のみどりかな 熊村あけみ
デパートのコロッケ匂ふ秋の暮 阪本節子
秋寒し戸車に差す潤滑油 熊村あけみ
つばき 【提供 : 北嶋八重さん】
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明けましておめでとうございます。
本年も「関西地区だより」をよろしくお願いします。
2022(令和4)年 新 春
北野天満宮 楼 門 【撮影 北嶋八重さん】
★ 10月「関西句会」(通信句会)2021年10月22日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎売家の開け放ちあり石蕗日和 徳永絢子
◎湯気あげて仏の前の衣被 井浪千明
◎鯖雲へ飛行機雲の吸はれゆく 新谷亜紀
稲刈や雲の迅さに急かさるる 原 万代
熟れ茱萸の酸つぱさうなる雨しづく 新谷亜紀
蔓絡み合つて高きに通草の実 徳永絢子
ぴよんと飛び肩に止まりし飛蝗かな 井上基子
細枝に十月桜震え咲き 井浪千明
昨夜の風をちこち落ちて榠樝の実 椿 恒平
秋の宮巫女さん募集と大書して 中野はつえ
秋しぐれ屋根の輝き太子堂 井浪千明
鳥威すカイト大きく旋回し 新谷亜紀
秋彼岸鳩の並んで胸反らす 中野はつえ
一人居に馴染の声の小鳥来る 椿 恒平
山間の昭和のポスト時雨来る 井上基子
★ 1月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で柴田惠美子さんまでお願いします。
締 切 2022(令和4)年1月21日(金)必 着
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★9月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年9月26日(日)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎栗拾ひ後ろに栗の落つる音 青木陽子
◎月の波ひたひたかぶり潮仏 安藤照枝
◎爽籟や観自在笑みたまふなり 熊村あけみ
鳶一羽二百十日の船着場 三雲宏一
惚けたる妻の手を引き踊の輪 松岡和子
灯火親し手擦れの辞書を繕ひて 熊村あけみ
神木に鴉のひそみ初嵐 熊村あけみ
初鴨の光れる羽を畳みけり 青木陽子
尼寺の花頭窓より十三夜 松岡和子
虫のこゑ近々とあり無双窓 西村千鶴子
菊の日や墨の香りの文届く 椛島奈美子
山頂の奥社灯りて夜半の月 松岡和子
駅に立つ君を送りて月仰ぐ 前田かよ子
賀の祝白磁に溢れ秋桜 阪本節子
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★ 9月「関西句会」(通信句会)9月26日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎荒神の杜のをちこちつくつくし 柴田惠美子
◎豊の秋供物あふるる童子仏 柴田惠美子
◎放たれて山羊の露けき眼かな 徳永絢子
葛の花磯路山路と岐れ咲き 中野はつえ
秋灯窓より子らの笑ひ声 中岡ながれ
そこばくの銀杏を干し御陵守 井浪千明
寄せ墓へさくらもみぢの始まれり 徳永絢子
くきやかに田の面の罅や落し水 原 万代
日は西に落つる山際法師蟬 椿 恒平
みささぎへ登り坂なる花すすき 井浪千明
雨雲の迫り芋の葉大揺れす 新谷亜紀
秋澄むや信濃は名山多き国 椿 恒平
ごつごつの石垣へ散る柳かな 新谷亜紀
伐採の年輪に脂秋暑し 中野はつえ
師や友の面影ばかり月の道 徳永絢子
十三夜水尾光らせて船帰る 井浪千明
風わたる花野の果ての朱雀門 小谷廣子
海光に明けし磯畑大根蒔く 井浪千明
★ 12月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で徳永絢子さんまでお願いします。
締 切 12月17日(金)必着
残 照 (土佐清水市)
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★8月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年8月27日(水)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎復興のパイル打つ音雲の峰 安藤照枝
◎水底へ消ゆる石段草の花 熊村あけみ
◎秋澄むや端座して読む須磨の巻 熊村あけみ
轟轟と下る濁流秋初め 小林佳月
投函のポスト口灼け広島忌 安藤照枝
田舎家の田の字の間取り盆用意 松岡和子
かなかなを聞いてうとうと山の寺 山田流水
庭先に増えゐし蜻蛉日の薄し 一村葵生
虫の音や絵本を閉じて子と添ひ寝 前田かよ子
夕立来て韋駄天走り軒の影 阪本節子
向日葵の頭の傾いてしまひけり 前田かよ子
父祖の田の山に還りてつくつくし 松岡和子
赤とんぼ平家ゆかりのかづら橋 山田流水
爆音のバイクは闇へ夜の秋 井上美恵子
曼陀羅の剥落著き炎暑かな 松岡和子
固有種の花に露置く伊吹山 西村千鶴子
草むらの流れに和する月鈴子 向平まゆみ
夫遠く夕べを啼きて法師蝉 青木陽子
たまはりし饅頭ぬくし秋遍路 青木陽子
良き仕立ゆるやかに着て秋袷 青木陽子
露天湯に白き人影秋立ちぬ 向平まゆみ
炎天下ペダル必死に野球帽 井上美恵子
眉墨の描いては消えて溽暑かな 井上美恵子
★大津市本丸句会 次回のご案内
11月も通信句会となります
11月26日(金)締め切り
正道官衙遺跡(城陽市)
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★ 8月「関西句会」(通信句会)8月24日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎ 葛の花巨岩ころがる行者みち 小谷廣子
◎ 燃え渋る潮木泡噴く晩夏かな 中野はつえ
朝顔の行き所なき蔓のあり 中岡ながれ
落蝉の片翅広げ果てにけり 新谷亜紀
夏草の身の丈を越す休耕田 井上基子
裏川の逆波立つる秋出水 中野はつえ
主なき家の壊され晩夏光 柴田惠美子
青鷺の川で吹かるる飾り羽 原 万代
卒塔婆の頭に止まりゐる蜻蛉かな 新谷亜紀
ひぐらしや瀬石を辷る水青し 井浪千明
初風や眉見ゆるほど髪を切り 新谷亜紀
雀らのちりぢりに飛ぶ初嵐 椿 恒平
弁天へ石の小橋や蓮は実に 徳永絢子
新涼や氏神さまの杜の風 柴田惠美子
ゆつくりと人進みゆく盆をどり 椿 恒平
風に鳴る蓮の葉売の幟かな 新谷亜紀
ちちははへ灯(あかり)を点じ魂迎 柴田惠美子
盆が来る真直ぐの雨降りつづき 中岡ながれ
念入りに眼鏡を洗ふ夏の果 柴田惠美子
鳳凰堂うつすさざ波白蓮 小谷廣子
★ 11月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で 徳永絢子さんまでお願いします。
締 切 11月22日(月)必着
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7月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年7月27日(火)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎ 畳みおく産着に夏の日の匂ひ 西村千鶴子
◎ 最澄の消えずの火とや月涼し 安藤照枝
上弦の淡き夕月鉾の町 小林桂月
格子戸の磨き継がれて釣忍 安藤照枝
ひと山を崩すひとりのかき氷 阪本節子
涼しきや笹の葉揺るる壁の影 小林桂月
板長の遊び心も夏料理 松岡和子
娘らのなにやらはしやぎ浴衣かな 一村葵生
母をまね片言の児や星祭 馬場千香子
小流れのしぶき耀ふ夏の朝 向平まゆみ
吉報に酌むロゼワイン夏の月 阪本節子
夏の浜ポニーテールの子の跳ねて 井上美恵子
みんみんや乾ききつたる釣瓶縄 青木陽子
瀬田川へ軽鳧の親子の着水す 西村千鶴子
葵咲く短かきホーム無人駅 西村千鶴子
拝殿の燭に白蛾の飛び廻り 一村葵生
夏休み補助輪はずす風の中 前田かよ子
青竹の切口美しき寺清水 松岡和子
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★ 7月「関西句会」(通信句会)7月22日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎ 裏山の長き吊橋夏がすみ 小谷廣子
◎ きんぴらにお酢少し足し送り梅雨 新谷亜紀
◎ 一木にででむしの子の七つ八つ 小谷廣子
並行し海原めざすヨットかな 原 万代
月涼し出窓に動く猫の影 徳永絢子
糠床に塩をひと振り半夏生 柴田惠美子
深吉野の大緑蔭を早瀬かな 小谷廣子
郭公や谷懐に風生まれ 西村千鶴子
夏足袋の余す爪先立稽古 西村千鶴子
野良猫の涼しき草にねまりをり 徳永絢子
青柿の肩に触れたる隠れ道 中岡ながれ
大夕立去りて鈴の緒雫垂る 中野はつえ
滴りの一粒づつに朝日照る 中野はつえ
風死すやどつと重たき束ね髪 新谷亜紀
けもの径草より飛べる油蝉 徳永絢子
★ 10月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句。郵送で徳永絢子さんまでお願いします。
締 切 10月22日(金)必着
宇治橋
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★6月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年6月26日(木)
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎山水の懸樋を走り冷し瓜 熊村あけみ
◎雫して梅雨夕焼の浮御堂 安藤照枝
◎梅雨湿り菩薩のお顔なまめいて 井上美恵子
山村の垣なき家や枇杷熟るる 椛島奈美子
ベランダに黒雲迫りはたた神 坂本節子
螢火の彼方へと去り淵の闇 井上美恵子
夢殿の宝珠艶めく緑雨かな 安藤照枝
囮鮎滾つ瀬に跳ね水匂ふ 西村千鶴子
小雀の水浴ぶ植田濁るかな 馬場千香子
尼さまの白緒の草履沙羅の花 松岡和子
父の日や母の小皿に酒を酌む 前田かよ子
壬申の古戦場跡蛍湧く 松岡和子
麦秋や落暉そびらに夫帰る 松岡和子
コロナ禍やステイホームに目高飼ふ 西村千鶴子
雨降るや葉にゆるゆると蝸牛 椛島奈美子
びびと鳴る街灯や火蛾まとひつき 中村良一
苔生せる巨岩に涼し不動尊 一村葵生
ひとり汲む紅茶の香りアマリリス 坂本節子
蠅捕蜘蛛神出鬼没夜の天井 熊村あけみ
藍色の日除けのほつれ佃煮屋 青木陽子
水無月のさざ波かぶり真珠棚 安藤照枝
雲梯へターザンなりとはだしの子 松岡和子
紙燭の灯幽かに揺らぎ夕涼し 西村千鶴子
渦まいて鯉の跳ねをり未草 青木陽子
つむりまで汗の赤子や這ひまはる 馬場千香子
緑陰や鳩の赤目に見られをり 井上美恵子
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★ 6月「関西句会」(通信句会)
☆ 田島和生主宰 選(◎は特選)
◎ 大吟醸据ゑて稲荷社風薫る 柴田惠美子
◎ 花南天細かき雨に散りゐたり 徳永絢子
パドックの馬の嘶き風青し 西村千鶴子
マンションを映す田の面や蟇の声 柴田惠美子
早苗田へ香具山の風わたりくる 小谷廣子
山あひの棚田うるほす梅雨入かな 椿 恒平
雲海を衝きて一峰屹立す 西村千鶴子
藻の花の夜目にも白く水流れ 柴田惠美子
螢飛び峡の十戸の灯の暗し 井浪千明
天女彫る木屑の匂ひ梅雨に入る 小谷廣子
城址より見おろす海や夏霞 中野はつえ
水甕の底ひの光り五月闇 椿 恒平
湯浅町
青蔦のひしと張りつく醤油蔵 西村千鶴子
石越ゆる水のしろがね夏蕨 中岡ながれ
河鹿鳴く流れを隔て消防署 徳永絢子
伸びきつて自在に雨のかたつむり 井浪千明
暗がりの水のひかりや初螢 徳永絢子
螢火の増ゆる川原の闇深し 中野はつえ
豆腐屋の朝の水音涼しけり 原 万代
近々といつもの雀朝涼し 柴田惠美子
洋館の窓拭き込まれ山法師 新谷亜紀
★9月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で新谷亜紀までお願いします。
締 切 9月26日(日)必着
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★ 5月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年5月27日
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎母の日の雨はしきりに降つてをり 前田かよ子
◎大空へ伸びる起重機夏つばめ 安藤照枝
◎子羊の長き咀嚼や草若葉 西村千鶴子
新築へ電線引かれ風薫る 馬場千香子
寝入る子の仏笑ひやさくらんぼ 安藤照枝
ひらきたる古代むらさき花菖蒲 青木陽子
薄墨の書のにじみたる梅雨入かな 井上美恵子
くきくきと忙しきワイパー梅雨の入り 前田かよ子
ピカピカのハーレー一団五月晴 一村葵生
葉がくれに押し合ひ太る実梅かな 青木陽子
離乳食十種に増えて夏来る 馬場千香子
蝶のごとひらりひらりと落花かな 小林桂月
南風焚書の煙うすうすと 西村千鶴子
縞馬の縞のきはやか夏に入る 熊村あけみ
声高き遠田の蛙月の蝕 一村葵生
山法師咲いて庭師の手入れかな 馬場千香子
茶問屋の築地のくづれ濃あぢさゐ 青木陽子
長ぐつを逆さに干して梅雨晴間 安藤照枝
警報の一夜とぎれず梅雨出水 熊村あけみ
糸通し幾度も違え梅雨曇 井上美恵子
マスクして人の行き交ふ青葉闇 井上美恵子
手を洗ふ水ここちよき薄暑かな 椛島奈美子
葉桜に雨足募る夕べかな 三雲宏一
西陣の露地に機の音夏の風 山田流水
潮風や異国の人も三尺寝 熊村あけみ
床の間の軸を取り替ふ夏はじめ 小林桂月
万緑や子のかぶりつく塩むすび 向平まゆみ
比良山地水の涌きたる鮎生簀 西村千鶴子
放棄田を覆ひつくせり姫女苑 熊村あけみ
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★ 5月「関西句会」(通信句会) 2021(令和3)年5月22日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎ コロッケを大ぶりに揚げ昭和の日 柴田惠美子
◎ 大蟻の引き摺る飴の包み紙 新谷亜紀
漆黒や艶の眩しき女王蟻 徳永絢子
川狩や雑魚をつかみて泥まみれ 原 万代
万屋の淡き灯しや梅雨に入る 中野はつえ
若葉雨賽銭箱の錆洗ふ 徳永絢子
あめんぼの水輪へ雨の波紋かな 新谷亜紀
遠方に富士の高嶺や吹流し 椿 恒平
足を皆畳みげぢげぢ果てゐたり 徳永絢子
新緑の谷へ土器弧を描き 西村千鶴子
新樹光坂上り来て骨納め 柴田惠美子
無住寺や節に粉噴く今年竹 中野はつえ
荒南風や船の航跡切れぎれに 椿 恒平
電線を伝ふ野猿や八重葎 西村千鶴子
梅雨鴉峡の田の小屋覗きをり 徳永絢子
築地塀越えて匂へる花蜜柑 柴田惠美子
★8月 関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句。 郵送で小谷廣子さんまでお願いします。
締 切 8月22日(日)必 着。
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★ 4月「大津・本丸句会」(通信句会)2021(令和3)年4月26日
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印 特選)
◎仕舞湯の窓に夜毎の蛙かな 向平まゆみ
◎千姫の百間廊下花月夜 安藤照枝
飛び交はす燕見てをる雀かな 椛島奈美子
人力車客待つ水辺花筏 青木陽子
盛砂の市松模様松の芯 中村良一
蓬餅かほりふくらむ網の上 椛島奈美子
葉桜や少年の足洗ひをり 青木陽子
蒲公英の花火の如き絮毛かな 小林佳月
漣に風の光りて浮御堂 中村良一
資本論求めし往時飛花しきり 熊村あけみ
春愁や朝に夕べに雨戸繰り 熊村あけみ
姉を待つしだれ桜の影の中 前田かよ子
花の雨番傘といふ重きもの 青木陽子
女生徒のさざめき来たり若葉風 熊村あけみ
春愁やブラックコーヒー香らせて 前田かよ子
青鯖の大き眼を開け小浜港 中村良一
子に笑まふ母さながらに八重桜 一村葵生
研ぎ上げて利鎌に初夏の匂かな 青木陽子
小天守に忍びの井戸や緑立つ 安藤照枝
流れくる昭和の歌謡暮の春 熊村あけみ
桜散り闇に浮かべる大樹かな 前田かよ子
枝下す庭師の腰に命綱 青木陽子
鴨引きて億万年てふ琵琶の湖 小林佳月
代田掻棚田の夫は影絵なる 松岡和子
筍の獣めきたる皮を剥き 小林佳月
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★ 4月「関西句会」(通信句会) 2021(令和3)年4月22日
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎ 鳥の巣や山の駅舎の明り窓 徳永絢子
◎ すかんぽを折りしその音高きかな 井浪千明
◎ お能観に肩へふはりと春ショール 新谷亜紀
鐘楼に縺れ込みたる鳥の恋 井浪千明
昨夜よりの雨に崩れし牡丹かな 中野はつえ
極彩の菩薩の壁画春惜しむ 小谷廣子
回廊の黄砂拭きをり僧二人 柴田惠美子
公園の石のステージ燕来る 徳永絢子
秋篠寺裏やたかんな掘りのこゑ 小谷廣子
しばらくは鯉に曳かるる花筏 中野はつえ
花仰ぐ頬へ昨夜の雨雫 徳永絢子
大寺やもの音絶えて蝶の昼 井浪千明
菜の花や遥かにあをき島の影 徳永絢子
春耕や鍬の刃光る段畑 椿 恒平
命日や位牌の母へ花の風 柴田惠美子
★7月関西句会(通信句会)のお知らせ
・ 5句投句 郵送で新谷亜紀までお願いします。
・ 締 切 7月22日(木)必着。
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☆ 3月26日(金)「大津・本丸句会」(通信句会)が開かれました。
井上美恵子さんから句会報が送られてきましたので、以下にご報告します。
☆ 田島和生主宰 後日選(◎印特選)
◎ふらここの子に木漏れ日の躍りけり 向平まゆみ
◎鈍行の揺れゆるやかに日永かな 向平まゆみ
◎下萌やゆるびし畔の踏みどころ 椛島奈美子
対岸に客を待ちけり花見船 三雲宏一
雪柳垣根を越えてしだれ咲き 青木陽子
遠山の二重三重なる霞かな 椛島奈美子
枝垂れ咲く花や吐息のやうな風 一村葵生
霾や喪中のごとく窓閉ざす 西村千鶴子
草萌の地を鋤き込むや耕耘機 馬場千香子
顔上げて下げて雀のはこべ食ふ 馬場千香子
春愁や廃校に立つ金次郎 松岡和子
箒目を崩す足跡梅見かな 安藤照枝
跳べさうで跳べぬ野川や初蕨 西村千鶴子
啓蟄や走り根光る鞍馬山 青木陽子
折込の研屋のチラシ桜まじ 阪本節子
藍深き海へ押し出し流し雛 熊村あけみ
大杉の幣ちぎれ飛び春一番 安藤照枝
登り来て望む琵琶湖や花曇 山田流水
吉野紙黒髪透けて雛納 西村千鶴子
工事場の更けて点滅冴え返る 阪本節子
花の雨苔生す幹の黒ずみし 一村葵生
土均す夫は春光纏ひつつ 松岡和子
卒業す石ころ坂も今日限り 前田かよ子
★大津本丸句会のご案内
4月も郵便による通信句会となります。
4月26日(月)締め切り
井上美恵子さんが、「海津大崎」と「笠原さくら公園」の写真とコメントをお送りくださいました。
海津大崎
奥琵琶湖の高島市マキノ町にある海津大崎の桜です。「日本の桜名所百選」にも選ばれており、桜はもちろんのこと、琵琶湖随一の岩礁と空と湖の青碧に遠くに浮かぶ竹生島を望む風景は絶景です。
笠原桜公園
守山市笠原町にあり、野洲川左岸堤防周辺に約400本のソメイヨシノが植えられています。地元の自治会が中心になってお世話をされているそうです。満開を迎えたこの時期の桜はまさに圧巻です。
(井上美恵子)
海津大崎
満開の桜が青空に湖に下萌に映えて、美しいですね〜
気分がふわ〜っと上がります♪
美恵子さん、ありがとうございました!
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★ 3月の「関西句会」も通信句会となり、徳永絢子さんから以下の通りご報告がありました。
ありがとうございました。
☆ 田島和生主宰選(◎は特選)
◎ 幻住庵椎の木の間の初音かな 山田流水
◎ あれこれと木の名を問うて春の山 中野はつえ
◎ 剪定の小枝を嘴に鳩飛べり 徳永絢子
上棟の木の香かぐはし春の風 中野はつえ
陵の土手の日だまり董草 椿 恒平
一菜の苦きもの添へ春の膳 中野はつえ
桑解くやうすむらさきに竹生島 井浪千明
一両電車花菜明りをまつしぐら 小谷廣子
鞘堂の崖に迫り出す藪椿 井浪千明
朽ち舟の淦(あか)や水草の生ひ初むる 西村千鶴子
亀趺に立つ自刃の塚や冴返る 井浪千明
耳門より訪ひし古刹や木々芽吹く 中野はつえ
啓蟄や塗り替へられし滑り台 井上基子
海へ向くカフェのベンチや花ミモザ 新谷亜紀
燃えしぶる火を追ひ立てて野火の風 井浪千明
波を切り船団戻るいかなご漁 柴田惠美子
エチュードの聞こゆる窓辺ヒヤシンス 徳永絢子
★4月関西句会(通信句会)のお知らせ
5句投句 郵送で柴田惠美子さんまで。
締 切 4月22日(木)必着。
☆北嶋八重さんが、「本満寺」の写真とコメントをお送りくださいました。
「本満寺」の枝垂桜
京都御所の北、同志社大学近くの寺町今出川を上がった所にある「本満寺」の一本桜をご紹介します。本満寺は日蓮宗京都八本山の一つで、近衛家にゆかりあるお寺です。3月下旬から4月上旬にかけて山門をくぐると、力強い枝ぶりの大きな枝垂桜が目に入ります。「この桜の前で、言葉はいらない」とも言われ、樹齢約90年、円山公園の枝垂桜の姉妹樹です。本満寺は観光寺院ではなく、散策自由で、隠れたお花見のスポットですが、だんだん京都の桜の名所として知られるようになりました。京阪鴨東線「出町柳駅」下車。賀茂川の桜を眺めながら、徒歩約15分とアクセスも良く、遠方から訪れる人が多くなりました。
来年は、大勢の人にこの生気に満ちた枝垂桜を、以前のように心おきなく眺めに来てもらえるようになることを願っています。
人知れず仰ぐものかも初桜 山田 弘子 『草蝉』
花の枝のふくらむところ鳥のゐて 鈴木 厚子 『紙雛』
しらじらととほき今年の桜かな 西村 和子 『西村和子句集』
(北嶋八重さん 記)
ため息が出るほど見事ですね〜🌸
来年はぜひ、現地で枝垂桜を堪能したいです。
八重さん、ありがとうございました!
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