「関西句会」(第122回)
☆11月25日(日)アネックス・パル法円坂において「関西句会」が開かれました。
1人の投句は5句、互選は7句でした。
☆主宰の一句
被曝児の残す襤褸(らんる)に咳殺し 田島和生
「広島平和記念資料館」では被爆して亡くなった人たちの遺品が数多く展示されている。どれも正視するに忍びない悲惨なものだ。中でも被曝によってぼろぼろにされた子供たちの衣服を目の当たりにすると、胸が潰れる。
「らんる」という音の響きから受ける惨たらしさ。「咳殺し」からは咳もできないほどの衝撃的な光景と、それをしっかり心に刻みつけようとする作者の思いがひしひしと伝わってくる。戦争は、一番弱い子供たちが真っ先に犠牲になる、本当に愚かなものだ。
広島を拠点とする「雉」俳句の、主宰ならではの一句。
◇田島和生主宰選(◎印特選)
◎二上山(ふたかみ)にひとひらの雲干菜吊る 小谷廣子
◎初鴨や水嵩低き淀城址 柴田恵美子
◎ひとつづつ島の灯消ゆる寒さかな 伊藤由紀子
九体仏蓮華座高く冬に入る 東 和子
大太鼓鳴る七五三日和かな 小谷廣子
つかの間の名月の夜となりにけり 松村節子
赤ん坊の手首のくぼみ日向ぼこ 伊藤由紀子
黄落や社の陰に愛馬の碑 新谷亜紀
小春日の墓に水掛け忌を修す 柴田恵美子
杖をつく人に差し掛け時雨傘 古澤厚子
豊頬の佛と対す小春かな 中野はつえ
紅葉山木橋に響く流れかな 大西トヨ子
花八つ手社造りの厠かな 中野はつえ
姿なき鵙の蛮声朝の雨 古澤厚子
冬耕や泥土滲む指の皺 新谷亜紀
つくばひの水輪次々しぐれ来る 北嶋八重
散るやうに黄の冬蝶の舞ひ降りぬ 新谷亜紀
千本の紅葉且つ散る御陵道 松村節子
冬晴や遠目に見ゆる伯耆富士 藤原幸子
競馬場越しの遠嶺や冬霞 藤田侃也
惚け封じ如来を拝す木の葉髪 大西トヨ子
画仙紙に仏を描き冬ぬくし 新谷亜紀
「みなさん、全国大会お疲れ様でした!」(関西支部長 中野はつえさん)
句会風景
二次会は全国大会の反省会(打ち上げ)。大いに盛り上がりました!