「京都あけぼの句会」(第25回)
☆1月13日(日)同志社新島会館において「京都あけぼの句会」が開かれました。1人の投句は7句、互選も7句でした。
☆主宰の一句
水底の寒鯉ちらと吾を見たる 田島和生
寒中の鯉は、水温が下がるので水底に棲みじっとしている。もう少しよく見ると、たまに鰭を動かしたりゆったり方向転換したりしている。そこまでは観察できるのだが、田島先生はさらに一歩踏み込み、凝視された。動かない寒鯉は目だけは動かして周囲を伺っているのだ。そして、田島先生の気配を感知し「ちらと」見た。その一瞬の感動が伝わってくる。「一点凝視主義」のお手本たる主宰の一句。
田島和生主宰選(◎印特選)
◎クロールのしぶきを浴びて御慶かな 川端通代
◎買初の老眼鏡に花の彫 北嶋八重
◎大道の香具師(やし)の口上初笑 北嶋八重
撫牛に願の前垂れ冬深し 新谷亜紀
声大き病む友よりの初電話 渥美 保
ごまめの目黒々として折の中 橋本すみれ
梅和への慈姑(くわい)添へたるお節かな 橋本すみれ
石蕗の花燈籠を背に揺れもぜず 永野武子
白銀の富士を眺めて年惜しむ 北嶋八重
神苑の水無き川や寒桜 新谷亜紀
境内の焚火明かりに神籤よむ 東 和子
子ら帰り明りの消ゆる四日かな 安藤えいじ
数え日の妻のメモ書き卓上に 渥美 保
開け放つ御堂の扉御身拭 東 和子
初泳光溢るる飛沫かな 安藤えいじ
やはらかき白雲浮かぶ初御空 渥美 保
一輪の水仙の香の居間に満つ 永野武子
星空へつひの二連打除夜の鐘 東 和子
雲払ひ山門照らす除夜の月 東 和子
母逝きて頭芋なき雑煮かな 安藤えいじ
霙降るビルに算盤弾く音 永野武子
互選句 (会員名五十音順)
萬葉の戀の相聞読始 田島和生
比良凍てて瑠璃金剛の翳りなし
煤逃げや琵琶湖一周鈍行で 渥美 保
やはらかき白雲浮かぶ初御空
冬耕の鍬打つ音や煙揺れ 安藤えいじ
初泳光溢るる飛沫かな
初電話殿様葱の国自慢 川端通代
クロールのしぶきを浴びて御慶かな
買初の老眼鏡に花の彫 北嶋八重
若水を汲む井や垂の真新し
笑門と書かれし茶屋の注連飾 新谷亜紀
神苑の水無き川や寒桜
一輪の水仙の香の居間に満つ 永野武子
霙降るビルに算盤弾く音
ごまめの目黒々として折の中 橋本すみれ
生菓子の紅色透ける二日かな
縫初の匂へる布や色重ね 林 杉子
門ぬちに煙立ちゐる七日かな
鈴鳴らし舞妓の御慶石だたみ 東 和子
星空へつひの二連打除夜の鐘
撫牛(北野天満宮)
寒木(黒谷さん山門付近)