「京都吟行句会報」(第59号)より
☆1月6日(月)、「京都吟行句会」が行われました。
吟行地は「無鄰菴」と「明智光秀頸塚」。句会報は毎回、小谷廣子さんが丁寧に編集され、後日配布してくださっていますが、その中から一部を抜粋しご紹介させていただきます。
洛東の雲つやつやと枯欅 田島和生
躙口まだ濡れてゐし朽葉かな 田島和生
☆華句麗句 田島和生主宰選(◎特選)
◎首塚の小さき祠寒灯 安藤えいじ
◎吊革を恃み六日の電車かな 阪上 元
◎冬川を隔てきりんの親子かな 松本陽子
枯色は築山の草ばかりなり 一村葵生
洋館の厚き白壁冬灯 安藤えいじ
洋館の手摺細工に淑気かな 松本陽子
木漏れ日や馬酔木に重く冬花芽 柴田恵美子
白川の流れへ酢茎匂ひけり 阪上 元
墨書きの謹賀新年料理茶屋 田子美地子
脱げそうなスリッパ履いて冬館 松本陽子
茶室へと枝張る松や雪ぼたる 小谷廣子
首塚に人の集まる松の内 川端通代
東山よき空にあり初句会 川端通代
疎水ごしきりん首振る御慶かな 田子美地子
寒晴や尾根のかがやく東山 柴田恵美子
滝の水流れて池へ冬の鴨 大前美智子
枝を剪る鋏の音に淑気かな 川端通代
名園を見下ろして鳴く初烏 大前美智子
鴨の首背に埋めて動かざる 柴田恵美子
人止めの青竹太し冬の庭 藤田侃也
首塚の枝垂れ桜に冬芽ふき 大前美智子
庭石のしろじろ乾き寒に入る 柴田恵美子
木漏れ日の苔にまだらや冬の朝 藤田侃也
小流れの音に楓の冬芽かな 柴田恵美子
白川の浅き流れや冬柳 大前美智子
岩の色透けて三段冬の滝 松本陽子
☆一口メモ 小谷廣子
今月の吟行は市営地下鉄蹴上駅より西へ十分ほど歩いたところの、山県有朋の別荘である無鄰菴へ行く。そこを出て白川沿いを南下し、明智光秀の首塚へ寄る。今日は主宰が出席されるとのメールが、えいじさんより流れ、かつてない十二人の参加者で盛大な句会になった。
首塚の小さき祠寒灯 安藤えいじ狭い狭い見逃すような路地の小さな祠の中に、光秀の首塚が祭られている。その奥にはぼうと灯りが見える。まさに寒灯である。「首塚の小さき祠」と「寒灯」が響き合ってどこか哀れな景だが、しみじみとして味わい深い作品になった。
明智光秀の首塚
☆「雉」京都吟行句会案内
日 時: 2月3日(月)10時30分
集 合: 智積院入口
(東山七条正面に立つ総門より南に50メートルほど)
吟行地:智積院