「京都吟行句会報」(第64号)より
☆6月2日(月)「京都吟行句会」が行われました。 吟行地は「平等院」と宇治川界隈。今回も小谷廣子さんから句会報が送られてきましたので、一部を抜粋しご紹介します。
☆華句麗句 田島和生主宰選(◎特選)
◎夏日さす鳳凰堂の丹塗りかな 阪上 元
◎色鯉や浄土の池にひるがへり 小谷廣子
鳳凰の鴟尾のまぶしき若葉晴 居相みな子
万緑に沿うて鈍行湾曲す 阪上 元
川風を入れて老舗の麻のれん 小谷廣子
薫風や甍の鳳凰燦然と 大西トヨ子
繋がれて川のたもとの涼み舟 小谷廣子
参道へ新茶の香る茶店かな 安藤えいじ
睡蓮の隙間を分けて亀の首 居相みな子
一対の鳳凰映ゆる夏の空 阪上 元
たぎつ瀬の岸辺に川鵜羽搏けり 藤田侃也
睡蓮の葉陰にひそと鯉沈む 藤田侃也
鳳凰堂映る水面や水澄 田子美地子
青楓水面ゆらして風走る 田子美地子
御仏を小窓に拝む大暑かな 藤田侃也
鵜の小屋へ懸る木橋の濡れてゐし 小谷廣子
一叢の睡蓮の花咲き初めし 柴田恵美子
夏蝶の翅を休める砂利の道 橋本すみれ
盲導犬鈴鳴らせゆく青葉闇 田子美地子
高欄の擬宝珠へのぼる山の蟻 小谷廣子
☆一口メモ 小谷廣子
今日の吟行は、「平等院」と宇治川界隈。平等院鳳凰堂が一年半の修復を終えて四月より公開されている。
宇治川のほとりに立つ平等院は、藤原頼通が父道長の別荘を寺院に改めたものである。鳳凰堂の鴟尾は若葉明かりに一段と眩しかった。
夏日さす鳳凰堂の丹塗りかな 阪上 元
鳳凰の鴟尾のまぶしき若葉晴 居相みな子
今日の吟行句は、鳳凰堂を詠まれたものが多い。鳳凰堂が美しく修復されたのに心を強く打たれたのであろう。
一句目は、強い夏野日差しのもとに、丹塗りで塗られている鳳凰堂をくっきり鮮明に描写され、省略のきいた味わいのある句。
二句目は、鳳凰堂の鴟尾が樹々の初々しい葉の輝きで眩しい。若葉晴の季語で、読む人の気持ちも明るくさせてくれるような作品。
宇治茶師の長屋門(上林記念館)
江戸時代の宇治茶師(将軍家御用達のお茶の調達をした)の家独特の建築物。当時宇治橋近辺には、この門構えが軒を連ねていたそうだ。
お茶籠(上林記念館)
江戸と宇治を往復する「お茶壺道中」に使われたと解説文にあった。
☆「雉」京都吟行句会案内
日 時: 7月7日(月)10時30分
集 合: 京都市地下鉄東西線 東山駅2番出口(リフト)から地上、片蔭で
吟行地: 青蓮院