京都あけぼの句会(第43回)
☆9月14日(日)東山いきいきセンターにおいて「京都あけぼの句会」が開かれました。
1人の投句は7句、互選も7句でした。
☆主宰の一句
稲妻や島へ架橋のピアノ線 田島和生
(いなづまやしまへかきょうのぴあのせん)
ダイナミックな架橋工事。稲妻が走る中、高々と橋桁を持ち上げるクレーン車。その張りつめたワイヤロープを、素材の「ピアノ線」と表現されたことで、ピリッと冷やかな空気感が伝わる。新興俳人たちが競って詠んた「新しい現実・新しい感覚」にも通う、写実的かつ感覚的な一句。 もう一句。 「義仲寺のやなぎ地を擦る今朝の秋」
◇田島和生主宰 選(◎印特選)
◎帯なして黒雲走る厄日かな 小谷廣子
◎水澄むや一枚岩を鯉くぐり 小谷廣子
◎杉山に亀裂の走る稲光 北嶋八重
溝に咲く露草瑠璃の色散らし 大前美智子
ちぎれ雲色それぞれに秋夕焼 橋本すみれ
今日の月祈りの人の背に照りて 林 杉子
幾度も稿書き直す夜長かな 北嶋八重
錆浮きしレールに残る暑さかな 新谷亜紀
日活の女優のやうに花カンナ 吉田 猛
九十九折よりほとばしる秋の水 小谷廣子
虫しぐれ母の俳句に父のこと 北嶋八重
暴風雨の警報解かれちちろ虫 吉田 猛
茹で汁のとろりと青きつるむらさき 新谷亜紀
牧の牛平らな背(せな)に露垂るる 居相みな子
帚木の端の色づき始めたる 吉田 猛
今朝の秋鑿打つ樟の香り立つ 林 杉子
秋の蚊の顔にしつこき羅漢山 居相みな子
出航の海の暗さや流れ星 橋本すみれ
余白多き看病日記虫すだく 小谷廣子
満月や女の顔の彫深し 安藤えいじ
枳殻(からたち)の実のまろまろと硬きこと 阪上 元
渓川の落ち合ふ先や葛の花 居相みな子
井月の伊那に来てをりましら酒 吉田 猛
打つ雨に色深めゆく実むらさき 大前美智子
足許に音たてしぶく萩の雨 阪上 元
貼り薬首より匂ふ秋暑かな 新谷亜紀
アルプスのガス晴れゆきて吾亦紅 橋本すみれ
秋の雨水輪を鯉の背鰭かな 阪上 元
☆「京都あけぼの句会」ご案内
日 時 平成26年 10月12日(日) 午後2時〜
11月 9日(日) 午後2時〜
12月14日(日) 午後2時〜
会 場 東山いきいきセンタ― 1階 第2会議室
北嶋八重さんから「名月管弦祭」の写真と解説が送られてきました。
以下にご紹介します。
下鴨神社「名月管弦祭」
中秋の名月の9月8日、神苑で管絃の調べとともに名月を観賞する祭典が催されました。舞殿で舞楽や十二単の王朝舞などが奉納され、斎庭に野点茶席が設けられました。(北嶋八重さん記)
舞殿の御供
鳥居越しの名月
今年の名月はとりわけ大きく清かでしたね。管弦の調べもひときわ冴えて美しかった
ことと思います。
八重さん、今回も貴重な景をありがとうございました!