☆ 9月3日(日)〜4日(月)、「雉」京都吟行句会100回記念 & 関西鍛錬会が開催されました。 吟行地は「栂ノ尾高山寺」、「北山杉中川集落」、「福徳寺」界隈。参加者は17名でした。
参加された小谷廣子さん・安藤えいじさんからご報告が、藤田侃也さんから写真が送られてきましたのでご紹介します。今回は、廣子さんが「主宰の一句」鑑賞を書いてくださいました。
☆主宰の句
稲架の籾噛めば甘かり京の果 田島和生
僧正の兎いづこへ走り萩 田島和生
僧正の兎いづこへ走り萩 田島和生
京北の田園を歩くと稲架干しが目に付く。そっと手を伸ばし籾をいただく。噛んでみると、口の中にまろやかな甘い香りが漂う。「籾噛めば甘かり」と具体的に詠み、収穫を前に、作物への感謝の気持ち、その土地の生活が、艶やかに捉えられて、妙味豊かな作品である。(小谷廣子)
高山寺
★ 第1回 句会
◇ 田島和生 主宰選(◎は特選)
◎暗きより出で来て光り秋の水 熊村 あけみ
◎つくつくし鳥獣絵巻うちひろげ 二宮 英子
◎淵に来て渦巻く川や秋の風 大前 美智子
木の実食ぶ鳥の番や裏参道 大前 美智子
雲の影一山覆ふ秋の風 竹内 悦子
ふりむける善財童子萩の風 田子 カンナ
渓谷の底より鳴けり秋の蝉 小谷 廣子
初紅葉蔀戸あぐる開山堂 二宮 英子
薄紅葉覆ふ古刹や裏参道 大前 美智子
爽やかや磨き丸太の琥珀色 小谷 廣子
日かげりて谷吹く風の秋めけり 大前 美智子
色なき風鳥獣戯画を見る人に 竹内 悦子
秋澄むや稚魚の群れては散らばりし 原 万代
草の穂とぶ一間四方の御廟かな 二宮 英子
門前の茶屋の厠に草の花 大西 トヨ子
国宝の柱虫くひ初紅葉 竹内 悦子
豊年や鳥獣戯画の兎跳ね 小谷 廣子
つくばひにおどる日の斑や白桔梗 熊村 あけみ
鳥獣戯画見てゐて刺され残りの蚊 小谷 廣子
★ 第2回 句会
◇ 田島和生 主宰選(◎は特選)
◎心字池魚を沈めて澄みにけり 大西 トヨ子
◎鮠の子を色なき風の散らしけり 阪上 元
◎鮠の子を色なき風の散らしけり 阪上 元
◎杉の皮流るる早さ水の秋 小谷 廣子
首筋をさはりて過ぎぬ秋の風 坂上 元
鳥獣戯画の暖簾吊るして寺の秋 安藤 えいじ
色鳥や裏参道の水匂ふ 小谷 廣子
洛北の杉の空澄む日なりけり 井浪 千明
みそ萩や水泡重ねて魚跳ぶ 二宮 英子
杉の穂にいびつな月の上りけり 二宮 英子
谷川の渓の上なる秋の空 藤田 侃也
谷よりの風の涼しき縁に座し 古澤 厚子
雲一朶木立をゆする秋の風 田子 カンナ
一つづつ灯消えゆく月高し 安藤 えいじ
渓谷の川面をわたる秋の蝶 柴田 惠美子
★ 第3回 句会
◇田島和生 主宰選(◎は特選)
◎杉山にかかる朝霧鳥威 田子 カンナ
◎電線の囲ふ稲穂の重さかな 安藤 えいじ
◎電線の囲ふ稲穂の重さかな 安藤 えいじ
◎高々と一花を残し蓮は実に 古澤 厚子
高校は森の奥なり豆回し 二宮 英子
秋嶺の裾より立つる朝の靄 柴田 惠美子
鐘楼の石垣に這ふ蔦紅葉 居相 みな子
鯉群れし池の萍紅葉かな 大前 美智子
どこ見ても北山杉や秋日濃し 竹内 悦子
冷やかな山水引ける寺の池 大前 美智子
朝冷や池に数多の鯉沈む 藤田 侃也
里山は墨絵ぼかしや虫すだく 井浪 千明
毬栗の色づき初めし峡の風 柴田 惠美子
露草や歩き疲れし足許に 大前 美智子
小流れの水きらきらと花すすき 井浪 千明
刺虫が十匹ほども一つ葉に 一村 葵生
爽やかや里の水路の縦横に 熊村 あけみ
本堂の軒の朝露石を打ち 藤田 侃也
山寺へ磴の片隅ちちろ鳴く 居相 みな子
☆ ひとこと
第100回を記念いたしまして京都京北方面へ1泊の吟行句会をさせていただきました。お忙しいところ主宰の出席をいただき、また横浜の二宮英子さまも駆けつけてくださり賑やかな句会になりました。いつもながら安藤えいじさんのお世話で、楽しく、実りある句会になりました。皆様、ありがとうございました。
(小谷廣子 記)
(小谷廣子 記)
キラキラした木漏れ日、澄んだ川のせせらぎ、萩の風・・
京北の秋の景が見える爽やかな吟行句ばかりですね。
京北の秋の景が見える爽やかな吟行句ばかりですね。
廣子さん、侃也さん、えいじさん、ありがとうございました。