☆11月21日(水)東山いきいきセンターにおいて「京都あけぼの句会」が開かれました。
林杉子さんから句会報をお送りいただきましたので、以下にご報告します。
★主宰の一句
鯉の背へちやぽんちやぽんと木の実雨 田島和生
「ちやぽんちやぽん」というオノマトペが効いている。木の葉のような「ぱらぱら」でもなく、水のしたたるような「ぽとぽと」でもない。木の実は、独特の「重さ」と「質感」で次々と池に落ち、その一つひとつが水滴をはね上げている。リズムと動きのある軽妙な一句。もう一句「冬の蠅政治面もて打たれけり」
(新谷亜紀)
☆ 田島和生主宰 選 (◎印は特選)
◎ 夕紅葉枝から猿が下りて来し 一村葵生
◎ 一息をつぐや笹鳴く寺の坂 居相みな子
◎ 吹溜りまた渦となり楢落葉 新谷亜紀
時雨傘杖につきつつ二年坂 一村葵生
高枝に割れてからまる通草の実 小谷廣子
戸を閉ざす芭蕉生家や初しぐれ 北嶋八重
夕日燦土手一面の尾花かな 一村葵生
杉の木の天辺までの葛黄葉 一村葵生
寝姿の山は借景寺紅葉 居相みな子
大正のガラスに映ゆる紅葉かな 北嶋八重
脚湯の檜の匂ふ無月かな 小谷廣子
蛍光灯ちらつく窓や冬はじめ 安藤えいじ
黒々と鴉の集ふ冬田かな 沢田清子
京大に銀杏(ぎんなん)拾ふ人となり 山田流水
花嫁の前をおすまし千歳飴 林 杉子
大橋の路上ライブや冬ぬくし 安藤えいじ
田仕舞の煙の匂ふ薄暮かな 北嶋八重
ひとりでに開く枝折戸石蕗の花 田子カンナ
大ぶりの鮨屋の湯呑冬ぬくし 田子カンナ
田仕舞や比良山麓を煙這ひ 熊村あけみ
石庭の白沙の渦へ一葉かな 小谷廣子
連山を巻きゆく霧の深さかな 青木陽子
柿もみじ僧の蝋涙掻いでおり 青木陽子
柿畑どの木も一つ木守柿 沢田清子
★ 京都あけぼの句会のご案内
東山いきいきセンター 午後1時半開始
平成30年 12月19日(水)101号
平成31年 1月16日(水)101号
☆ 北嶋八重さんが、「伊賀上野」の写真と解説をお送りくださいました。
以下にご紹介します。
伊賀上野(三重県伊賀市上野)
11月12日(旧暦10月12日)の時雨忌に、松尾芭蕉(1644〜94)のふるさとを訪ねるツアーに加わり、伊賀上野へ行って来ました。芭蕉が生まれ、江戸に出るまでの月日を過ごした城下町に、芭蕉ゆかりの地や作品を、ガイドの案内とともに巡りました。<伊賀上野城>
関ケ原の合戦で戦功をあげた藤堂高虎の支城であり、当時は人口約1万人程の城下町でした。白鳳城とも呼ばれ、国の史跡、 日本100名城にも選ばれています。現在の天守は、昭和10年に再建されたもので、名称を「伊賀文化産業城」とされ、藤堂家の遺品である武具・甲冑・の他、伊賀焼の作品等も飾られ、展示館となっています。<俳聖堂>
旅に生きた漂白の詩人 松尾芭蕉の旅姿を模した八角堂です。<芭蕉翁記念館>
上野公園(伊賀上野城)内にある伊賀市立の松尾芭蕉に関する記念館です。芭蕉祭の特別展示「日本の四季と芭蕉 秋」が催され、芭蕉真筆の句や月の文、兄に宛てた遺書(芭蕉最期の自筆書簡)等を学芸員のお話を伺いながら鑑賞しました。<蓑虫庵>
芭蕉の門人、服部士芳の庵で、唯一の現存です。<芭蕉生家>
松尾芭蕉は、寛永21年(1644年)に現在の三重県伊賀市に生まれました。父親は上柘植村の無足人(準武士待遇の農民)の出。6人兄妹の次男であった芭蕉は、伊賀俳壇で若手の代表格として地位を築きましたが、さらに俳人として修業を積むため、仕官を退き家を出て江戸へ出ることになりました。芭蕉生家は、29歳までを過ごした家と言われています。(現在休館中)(北嶋八重さん 記)
伊賀上野城
俳聖殿
芭蕉翁記念館
蓑虫庵
庭園の古池塚
芭蕉翁生家
上野天神の芭蕉句碑
ぬけるような紺碧の冬青空!
初ざくら折しもけふはよき日なり 芭蕉
句碑に刻まれた一句も素敵。
八重さん、ありがとうございました!